2017年12月号 ブログ・アウトサイドストーリー136
知っていますか? 意外に身近なオールド・アメリカン・ミュージック 冨岡弘文税理士事務所 辻井貴子
ブロガーサミット初参加
こんにちは。冨岡弘文税理士事務所スタッフ、辻井貴子です。所長である冨岡が、「これからはネットで情報発信だ、情報は発信する人に集まるものだ!」と一念発起してブログやホームページに力を入れるようになってから、早いもので10年近くが経ちました。
所長の影響で私が利用し始めた事務所のスタッフブログやSNSも、同じくらいの年数を経たことになります。物理的な距離を簡単に飛び越えて、大勢の人とコミュニケーションが取れる便利さがインターネットの魅力。でもそれをキッカケに実際に会うことができれば、情報も親密度合いも格段にパワーアップするものです。ブロガーサミットはまさに、ネットつながりをより強力な人脈に昇華する絶好の機会なのだろうと、以前から興味津々でした。
今年の春、そのブロガーサミットが私の地元である神奈川県で開催されたのをキッカケに、ようやく私も初参加できました。そこで出会った人たちは皆、噂通り個性豊かで、一芸どころか多芸に秀でたスペシャリストばかり。でも堅苦しい雰囲気は全くなくて、皆さん気さくに吞み、喋り、新参者の私のことも快く受け入れてくださいました。軽やかな吞みトークの中にもキラリと光る哲学あり、日常を改革できそうなアイデアや試みあり。期待以上に楽しくて、ぜひまた参加したい!と思える有意義な一日となりました。
ところが、残念ながらこの秋に開催された〝ブロサミin広島〟には出席できず、所長がいそいそと往復のチケットを手配するのを横目に、悔しい思いをしていました。といっても、事務所の仕事を休めなかったわけではありません。今回のブロサミの日程が決まるずっと前から、この連休は福岡県久留米市へ行くことが決まっていたからです。
もうひとつの顔
今回に限らず私のスケジュール帳は、ほぼ毎週末、そしてほとんど全ての祝日と、たまに平日のアフター5も……、とにかく事務所で仕事をしていない時間帯は、半年先まで常に埋まっている状態なのです。一体、何の予定がそんなに詰まっているのか、今回の誌面をお借りして、職場の仲間もうすうすしか知らない、事務所にいないときの私の活動をご紹介しようと思います。
事務所で働いていないとき、私はミュージシャンをしています。これだけならそんなに珍しいことではありません。週末ミュージシャンとして、ライブハウスなどでバンド活動をしている友人も大勢います。実際に私も、最初はそのひとりでした。社会人になったばかりのころ、ラジオから流れるフォークソングに興味を持って、ギターを買いに行ったのがキッカケでした。
でもその後、いくつかの出会いやキッカケを経るうちに、ちょっと普通とは違う道に足を踏み入れるようになりました。最近の活動場所は、いわゆるライブハウスやコンサートホール以外に、全国各地の公民館や酒蔵などでの町おこしイベント、大学の講義や高校の音楽の授業に講師として呼んでもらったこともあります。
過ごしやすい季節には野外コンサートが開催される地域も多く、前述の久留米行きもそうした活動のひとつだったのです。それにしても、音楽イベントはともかく、なぜ大学の講義⁉と、なんだかミスマッチに聞こえるだろうと思います。実は、取り上げている音楽と、その紹介の仕方に理由があるのです。
知っていますか? 意外と身近なオールド・アメリカン・ミュージック
私がやっている音楽が、ひと口に何のジャンルなのかと問われれば、古いアメリカの唄、と答えるのが一番当たっていると思っています。よく「カントリーのこと? フォークソングとどう違うの?」といった質問を受けるのですが、実はジャンル名というのはややこしくて、他にもブルーグラス、ジャズ、ブルース、ゴスペルなどなど、さまざまな呼び名があり、それらがミックスされてできた音楽も多くあります。アメリカでもこれらの呼び名が地域によってごちゃ混ぜに使われていたりするので、それぞれの由来と選別基準を語りだしたら一晩中かかっても終わらないほど複雑です。ジャンル名やそこから湧くイメージにとらわれるより、要するに、昔から庶民が唄い、聴き、楽しんでいた民衆の唄や歌謡曲のようなもの、と思っていただくのが分かりやすいかもしれません。
もともと、私が興味を持ったフォークシンガーは、1930年頃、アメリカで唄われていたものを日本語にして唄うという試みをしている人でした。ではアメリカで唄われていた元の唄ってどんな唄? どんな人が作り、唄っていたのだろう?と、アメリカのフォークシンガーが唄うその元唄を調べると、さらにその人が参考にした別の元唄があることが分かり、そのまた起源を探ると……と、遡り続けて歌詞の内容や唄の歴史的背景を調べるうちに、コロンブスがアメリカに到達して、アメリカへ移民が押し寄
せるようになったころの唄や、さらにはそれより前、アメリカへ移民として渡る前にヨーロッパで唄われていた曲や楽器にたどり着いてしまったのです。
実はアメリカ出身!おなじみのあの唄、この唄
アメリカ合衆国の独立宣言は1776年。そんなに古いアメリカの唄なんて知らないよ、と思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
例えば、小さいころに誰もが口ずさんだことのある「アルプス一万尺」。あのメロディーは実は、アメリカがイングランドから独立しようと戦争をしていたときに、イングランドの兵隊がアメリカ兵をバカにして唄った「Yankeedoodle」(ヤンキードゥードゥル)という唄が元になっています。「ヤンキー」とは本来、東海岸に移民として住み着いたアメリカ人のこと。ドゥードゥルは阿呆とかマヌケ、といった蔑みの言葉です。
面白いことにアメリカ兵は、自分たちをバカにして唄われていたこの唄のメロディーを気に入って、「ヤンキードゥードゥルはダンディーでダンスも上手、俺たちがステップを踏めば女のコなんてイチコロさ」というヤンキー賛美の意味の替え唄を作って唄い始めてしまいました。
今や国民的に有名な曲となっており、現代でも、サビの部分は多くのアメリカ人が耳にしたことがあるような曲です。日本にはおそらく、明治維新のころに入ってきて、これまた全く違う内容の「アルプス一万尺」という替え唄になって唄い継がれているというわけ。どうですか? 意外に身近で面白いでしょう?
他にも、大正演歌だと思っていた唄が、実はアメリカの南北戦争時代の軍歌で、しかもその作者はおじいさんの古時計の作者と同じだったり、幕末にジョン万次郎(※)が日本へ持ち帰った唄は、現代人にもなじみのある「おおスザンナ」のメロディーだったり……、調べれば調べるほど、面白いエピソードが山のように出てきました。
英語の歌詞ひとつを取っても、聖書の内容を踏まえていたり、独特な裏の意味が隠されているスラングがあったりと、知っていれば面白さ倍増の事柄がたくさん。それらを紐解くことの魅力にすっかりとりつかれてしまったのです。
※漁に出たときに船が難破し、アメリカの捕鯨船に助けられた。アメリカへ渡り海洋術を学んだ後、帰国して開国に貢献した人物。
歴史と、英語と、音楽と
自分が面白いと思うことは誰かに伝えたい!というわけで、こうしたエピソードを、演奏の合間に、ライブで紹介するようになりました。
世界各地からやって来た移民がアメリカに持ち込んだ、日本ではあまり見かけないような楽器も徐々に入手して、唄と歴史、英語の歌詞や楽器について語りながら演奏するライブのスタイルが定着したのが数年前のことです。
最初はギターしか弾けなかったはずなのに、新しい楽器がまた新しい縁を呼び、知らなかったことについて本を読めば、その分野に詳しい人との出会いにつながり……、といったことを繰り返すうちに、情報や仲間がどんどん増えていきました。とうとう、演奏曲のレパートリーを時代順に並べて、歴史の授業の合間に唄と演奏、というようなことをするうちに、「まるで社会科の授業みたいで面白いから、ぜひ学校でも」と、現在のような演奏機会が増えていったというわけです。
運と縁とタイミング
おかげさまで、今や1年間に行うライブの本数はおよそ100本余り。CDも発表していて、ちょうど今、年内に発売予定の4枚目を制作中です。自宅でのんびり過ごしている日は、年に10日あるかないかという状態なので、周囲に心配されることもありますが、本人は至って元気! 忙しいながらも楽しく過ごしています。「年に一度、生演奏が聴ける!」と他県で楽しみに待っていてくれる人がいると思うと、 俄然、やる気が湧いてくるものです。
もっとも、たった数年でこれだけのネットワークにつながったのは、私ひとりの活動によるものではありません。音楽を始めてしばらくしたころに、音楽を生業とするツアーミュージシャン「やなぎ」という男性と出会ったのが、私の音楽人生の転機でした。カラオケくらいしか経験のなかった私に、発声と楽器演奏の基礎を仕込んだスパルタ師匠です。全国で唄う場所を開拓できたのも、初めての楽器に臆せず触れることができたのも、この怖~い師匠のおかげ。まだまだ修業が足りないと𠮟咤激励され、大変なことも、つまずくこともたくさんありますが、それでも、知らなかった音や事柄、そして何より、多くの人との出会いの面白さにはかないません。違う人生観、違う得意分野、違うアイデアや発想を持った人との出会いは、何よりワクワクするものです。
実は当初、アマチュアバンドに所属していたころの私に、周囲の仲間はこう言いました。
「プロとやってうまくいくわけがない、楽しくなくなってしまうからやめておけ」
気楽さがなくなる、という意味では真実だったかもしれませんが、楽しくなくなる、という点はハズレでした。むしろやればやるほどに楽しさは増すばかり。キャリアのある人との共演は、仕事でもスポーツでも、何のジャンルであっても面白く、勉強になるものです。「深くやるほど面白い」というこの体験は、今も、私にとって重要な人生哲学になっています。
さらに、こんな破天荒ともいえる生活が可能なのは、ひとえに、ワークライフバランスを尊ぶ事務所の方針のおかげ。伸び伸びと休暇を取って楽しいことをしていると、事務所での仕事を通じて出会ったお客様との会話も弾みます。「あれもやりたい」「これも楽しそう」を諦めないためにはどうしたらいいのか? と考えると、自然と効率化を目指すようにもなります。今の日本で、こうしたことを本当に実行できる職場は、そう多くはないであろうことを考えると、本当に、なんて幸運だったのだろうと思い
ます。
職場との出会いも、仕事での出会いも、私にとっては音楽つながりの人脈と同じ、大きな財産なのです。結局、仕事も含め、どんなことでも最後は運と縁、そして大事なのは、そのタイミングを逃さない瞬発力なのかもしれません。
次はあなたの街で唄っているかも
さて、「やなぎ」と「たかこ」なので、音楽活動するときのユニット名は「やぎたこ」。タコヤキみたいだとよく笑われますが、覚えやすくて気に入っています。ホームページやブログ、フェイスブックページでも情報を発信しています。CDの購入もHP記載のメールで受付中!
「面白そう」と思ってくださった方、ぜひ一度「やぎたこ」と平仮名で検索してみてください。全国各地、津々浦々でのライブスケジュールが出てきます。
このエッセイを読んでくださったのも何かのご縁。食わず嫌いせずに興味を持っていただけたらこんなにうれしいことはありません。いつか、あなたの街でお会いできますように!
辻井貴子(つじい・たかこ)
2006年9月に冨岡弘文税理士事務所へ入所。神奈川県出身。甘いモノと甘い言葉にめっぽう弱い、昭和生まれの射手座、O型。学生時代は体育会のバドミントン部に所属して、朝から晩まで体育館でトレーニング漬けの日々だったけれど、社会人になってから突然、ラケットを楽器に持ち替えて音楽活動を開始。休日のたびに、全国各地を巡業している。「仕事も、家族も、趣味も、笑顔が一番!」というキャッチフレーズを有言実行してくれる所長と出会えたのも何かのご縁。音楽つながりでも、会計の仕事からのつながりでも、それまで知らなかった事柄や音楽、そしてもちろん人との新しい出会いは、いつでも面白く、ワクワクするもの。日々、「楽しい!」を満喫中!
2017年11月号 ブログ・アウトサイドストーリー135
人の興味を引く話し方を楽しく追究してみました!!の続き 坂野上満税理士事務所 坂野上 満
富山県高岡市の税理士、坂野上 満です。このエッセイには4回目の投稿となります。今年の1月号で人の興味を引く話し方について、(健全な)夜のおネエさんを相手にしたときに人気者になるためのネタを、さわりの部分だけ披露させていただきました。これは、①一万円札ネタ、②ワインネタ、③カレンダーネタ、④英語ネタ、⑤スプーンネタ、⑥愛し合う男女の夜の営みネタの6つでした。
これについて詳しく教えてほしいというリクエストを何件かいただきました。私が講師の経験から3カ月かかって編み出したネタということもあり、本当は報酬をいただきたいのですが、ここは実務経営サービスさんとブロガーサミットにいつもお世話になっているということで、誌面で大公開(?)することにしました!
まず、女の子との話し方の基本ですが、鉄の約束事があります。それは、「一方的にしゃべらないで、会話のキャッチボールをすること」「女の子にしゃべらせてあげて、正解にたどり着いたら思い切り褒めてあげること」「何よりも、お互いに楽しい時間を過ごすことができるよう意識すること」デス。当たり前といえば当たり前なのですが、これらを踏まえつつ、ネタの大公開に移ります。
一万円札ネタ
まず、①の一万円札ネタです。これは前回も書かせていただいた通り、特攻隊長役のネタです。
これは、こう始めるんですよ。おもむろにサイフから一万円札を1枚出して(このとき、女の子は「何が起こるんだろう?」という興味深い顔をすることが多いです)、「○○ちゃん、これ好き?」と聞きます。
おそらく、10人中10人が「うん、大好き!」と答えると思うんですが、「えっ、これ好きなの?これが好きって人、初めて見たわ!」なーんておどけてみたりします。それから、「これが好きだっていうんなら、これが好きだっていう責任を持ってよ」と続けます。
さらに続けて「○○ちゃん、これが好きだっていうんなら、これのこと隅から隅まで何でも知ってるんだな?」と。女の子はうーん、どうかな?というような顔をしますので、「一万円札にはオモテとウラがあります(フクザワさんが描かれているほうがオモテ)。今日はこのウラについて聞いてみたいんだけど。ここに描かれている鳥って何の鳥か知ってる? 教えて!」と問題を出します。
このとき、「な〜んだ?」と言うと答えを知っている人が知らない人を試しているように受け取られてしまうので、必ず、「教えて!」というようにするのが相手を巻き込むコツですね。
ここで100人に1人か2人は一発で正解となります。嫌な女の子ですね〜。でも、正解したら思い切り褒めてあげましょう。「えっ、○○ちゃん、正解! 何で知ってるの? これ、いろんな人に聞いてるんだけど、一発で正解を出したの、○○ちゃんが初めて!」と本当は初めてじゃなくてもそう言ってあげましょう。女の子は気分がいいはずです。
しかし、普通はこの鳥が何かは分からないんですよ。女の子がうーん、となる前にNGワードを設定してあげましょう。「NGワードはニワトリ、鳳凰」と言うと、さらに女の子の困った顔を見ることができます。
そこでヒントを出してあげる。「じゃ、ヒントね。ヒント欲しいでしょ?」と前置きして、「これね、日本の国鳥」と。なおさら分からなくなるんですが、「えっ、○○ちゃん、日本人でしょ? 分かんないの?」などといじってあげましょう。これは、分からなかったらおそらく出てこないと思うので、答えを言ってあげることになります。「答えね、これ、キジなの。日本の鳥はキジですよ。覚えといてね」などと言いながら、「オジサンたちの用語で、キジ1枚、キジ2枚……っての聞いたことない? あれ、一万円札が何枚っていう話なんだけど、ここからきてるんだよね」と付け加えます。若い女の子はキジ1枚なんてこと、聞いたことないですよね。フクザワさんなら分かると思いますが。
で、「実は一万円札のヒミツはこれじゃなくて、このウラ側にキジの他にもう1羽、鳥がいるんだけど、それを探してほしいんだよね。どこに、どういう鳥がいるのか教えて! 今のキジは何ていう鳥か分かりにくかったけど、もう1羽は名前がすぐに分かるやつだからね!」と本題に。
これが①の一万円札ネタなんですよ。「○○ちゃんの次に、他の誰かに聞いてみたいから、答えが分かったら耳打ちでひそひそとお願いね!」というと、真剣に一万円札のウラを探し始めてくれます。
●第1ヒント
「分からなかったら言って。第1ヒントから第4ヒントまであるから。○○ちゃんはどのヒントで分かるかな〜?」「……うーん、分かんない。ヒントちょうだい」ときたら、「その一万円札、ちょうど半分に折ってくれる? 本当にちょうどに折らないとヒントにならないからね」と言って女の子が真面目に、真剣に一万円札を折る姿を堪能しましょう。
このとき、フクザワさんが内側になるように折ってもらいます。半分に折られた一万円札のキジが描かれている側とその反対側のうち、「こっち半分(キジの反対側)にいます!」と言って、探す対象面積を半分にしてあげます。これが第1ヒント。
●第2ヒント
それでも分からないと言ってきたら、キジの側が内側になるようにさらに折ってもらいます。すると、第1ヒントで折ってもらった側の半分と一万円札の右端の側の半分に分かれますが、「こっち半分(第1ヒントで折ってもらった側)にいます‼ 」。これが第2ヒント。
●第3ヒント
それでも分からないと言ってきたら、今度はタテに折ってもらいましょう。上半分の「NIPPON GINKO」と書かれている面と下半分の面に分かれますが、「こっち半分(上半分)にいます‼」これが第3ヒント。
●第4ヒント
ここまでくると探す面積がほぼ4センチ四方となり、すごく狭くなってくるのですが、それでも分からないと言ってもらえるいい子ちゃんにはさらに第3ヒントのときと同じように上下に分かれるように折ってもらい、「こっち半分(上半分)にいます‼」これが第4ヒントで、最後のヒントとなるのですが、こうなるともう「NIPPON GINKO」と書かれている文字の一部しか残りません。普通はここで「あー、分かった‼もう〜」となります。答えは「インコ」。どこにいるのかはご自身の一万円札でご確認ください。分からなければ第4ヒントまで試していただくのもよろしいかと。
このネタは、自分ひとりで探すより、仲間と探したほうが……という心理が働いて、女の子が別の女の子を自分の近くに連れて来てくれるという重要な利点があります。しまいにはママまで入ってきて、カウンターにいる客みんなで盛り上げる、なーんてことも少なくないです。
このインコは千円札や五千円札にもいるのに、なぜ一万札ネタなのかですって? それは、一万円札は日本の最高額紙幣だからインパクトがあるからね……ってのもあるんだけど、本当は、第1ヒントでちょうど半分に折ってもらったときにきれいにインコが登場するのは一万円札だけだから(他の紙幣だとずれちゃうのでヒントにならないのよね)デス。
オヤジの飲み屋話ですが、女の子とのコミュニケーションが何を意図してやっているのかということにお気づきいただけたでしょうか?誤解を恐れずに言えば、女の子に自分の思う通りに動いてもらうためのコミュニケーションといえるかもしれませんね、別の女の子たちを呼んできてもらえたり……。続いて②ワインネタをどうぞ。
ワインネタ
「すんごい勉強になった! これ、友達にも教えてあげたい!」
これはワインネタをさく裂させた後の女の子の標準的な反応です。ワインネタはワインのウンチクを語ってるだけなんですが、オヤジが若い女の子に自分の知識をひけらかすようなやり方だと女の子は他のお客様のところへ行ってしまうでしょう。皆さん、自分が教えてあげたことによって先ほどのように女の子に反応してもらいたくありませんか? そのためのネタです。これは会話調で進めていきます。
私 ○○ちゃん、ワインに詳しい?
女の子 えー、あんまり詳しくないんだよね。
私 ボク、ちょっとワインについて疑問があるんだけど、教えてよ。
女の子 えー、分かるかなー?
私 分かったらでいいからさ。スパークリングワインとシャンパンってどう違うのかな? それとも、全く同じもの?
女の子 うーん、どうなんだろう? △△なのがスパークリングワインで、▲▲なのがシャンパン。違う?(よくあるのは炭酸の濃さとか、色とか、アルコール度とかです)
私 じゃあ、国産のスパークリングワインってあるのかな? 国産のシャンパンってあるのかな?
女の子 えー、どっちもあるんじゃないの?
私 うーん、そうなのかな? 山梨のぶどうで作ったスパークリングワインって聞いたことある? 山梨のぶどうで造ったシャンパンって聞いたことある?
女の子 そういえば、山梨のシャンパンってないかも……。
私 そうなんだ。ということは、スパークリングワインとシャンパンの違いって何だと思う?
女の子 産地?
私 おぉ、産地で呼び方が違うんだ。
女の子 えー、本当のこと教えてよ!
私 じゃ、どこで造られたのがスパークリングワインで、どこで造られたのがシャンパンなのかな?
女の子 外国で作られたのがシャンパン?
私 惜しいっっっ(本当はあまり惜しくないけど)。
女の子 分かった! フランスで造ったのがシャンパンで、日本で造ったのがスパークリングワインだ!」
私 お、ものすごく近いところまで来てる!
女の子 本当⁉フランスじゃないのかな?
私 いやいや、シャンパンっていうと、フランスの言葉っぽいでしょ?
女の子 そうだね、フランスのシャンパンってところで作られたのがシャンパン?
私 正解者に拍手ー! よく分かったね! 本当はフランスのシャンパーニュ地方なんだけどね。そこで造られたものにしかシャンパンと名乗ることは許されていないらしいよ(正解したら褒めてあげましょう。ウンチクを教えてやる、という感じを出さないために伝聞調で伝えるのもGOODです)。
このやりとりには2つの意図が隠されています。ひとつは、女の子に正解を言わせることです。決してオジサンの側から正解を言わず、女の子に正解にたどり着いたという満足を与えることです。もうひとつは、そこにたどり着くための道案内をしてあげる(正解を自分の口で言わせる)ことです。
このワインネタは、ここで紹介したものに続けて「スパークリングワインの炭酸ってどの工程で入れるの?」「ボージョレ―ヌーボーの白って本当にあると思う?」などと言って女の子をちょっとしたワイン通(?)にしてあげましょう。このとき、気を付けることがあります。それは、
①正解は自分で言わずに必ず女の子に言わせるよう、会話のキャッチボールで導いてあげること
②女の子が正解にたどり着いたら思い切り褒めてあげること
③ワインネタが全て終わったらこう付け加えること
「○○ちゃん、ボクとこの話をするほんの10分前まではワインについては全く知らなかったよね? でも、今は少し分かるようになったでしょ⁉
『少し知ってる』というのと、『全然知らない』というのは全然違うからね。今日分かったこと、誰かに話したくなったでしょ⁉」
インチキと言われるかもしれませんが、この話題の冒頭で紹介した標準的な女の子の反応って、この最後の一言で言わせてるんです。コミュニケーションってそんなもんなのかもしれませんね。でも、これを女の子が自分の口で言うことで本人の満足度も上がるんですよ。
今回は誌面の都合で6つのネタのうち2つしかタネ明かしができませんでした。またいつか、残りのタネ明かしをするかもしれません。オジサンの飲み屋話に興味ない……なんて言わないで、またお付き合いくださいね!
それでは、また‼
坂野上 満(さかのうえ・みつる)
昭和45年1月富山県高岡市生まれ。
平成4年3月明治大学商学部商学科卒業。
平成4年4月富山県小矢部市のプラスチック製造会社に就職。
平成7年10月退職し、税理士試験勉強に専念。
平成9年9月富山県射水市の税理士事務所に入所。
平成10年12月税理士試験本合格。
平成11年11月税理士登録。
平成14年4月富山県高岡市に税理士事務所を開業。
2017年10月号 ブログ・アウトサイドストーリー134
ブログ月間20万PV(ページビュー)達成!~ 達成に向けてやってみたことを全部書いてみた! ~
木村税務会計事務所 所長・税理士 木村聡子
記憶が正しければ、これで4度目のリレーエッセイ登場です。というわけで、今回は正攻法なブログ運営ネタです。私のブログの月間PV(ページビュー)数が20万を超えました。20万PVはトップアマレベルで、これでようやくブログ上級者への門を叩けたといえるでしょう。実は今年の初めに立てた目標が月間20万PVだったので、この目標突破は、小躍りするほどうれしいです。
そこで今回は、このエッセイを読んでいる方向けに、「20万PV到達に向けて、私が工夫したこと」を、出し惜しみすることなく書いてみます。
やっぱり、独学より「師匠」に教わるのが近道です
世の中には、ハイパーな文才の持ち主であったり、天才的にブログ読者の興味の惹き方がうまい方がいて、あっという間に短期間でPV数を稼ぐ人気ブロガーになられる方もいらっしゃいます。しかし、凡人はそうはいきません。ブログ上級者になるための道は、2つあると思います。
①独力で研究をしながら、PV数を稼ぐブログ運営のコツを身につけるか
②その道の「師匠」に教わるか
①は時間がかかりすぎるうえに、多くの人が芽が出る前にブログの記事を更新し続けることがむなしくなり、結果、PV数を稼げる境地に到達する前に、挫折をしてしまいます。
ということで、短期間で凡人が成果を上げるならば、やはり②なんです。ラフで自由に見えるブログも、実はコツや法則があり、それさえつかんで地道に更新を続ければ、いつしかPV数はついてきます。そのコツや法則を、先人から集中して学ぶのです。
私は今まで、次の3人のブロガーのセミナーや講座などで、ブログ運営について学びました。
• 井ノ上陽一さん
http://blog.kimutax.com/archives/51899367.html
• カワイタクヤさん
http://blog.kimutax.com/himag-seminar
• 立花岳志さん
http://blog.kimutax.com/Tachibana-Takeshi-blog-branding-seminar
3人の「師匠」を選んだ基準ですが、3人のPV数で選んだわけではありません(もちろん、皆さんすごいPV数を稼ぐカリスマブロガーですが)。ご本人のブログでの情報発信の仕方が好ましいからです。実は、師匠選びをする際は、ここがすごく重要だと思っています。いくらPV数を稼ぐといっても、まっとうな方法を学びたいですから(炎上系とか、悪ふざけ系はイヤ!)。
もしもあなたがブログをやっている・やろうとしていて、「このブロガーさん、いいなぁ」という方がブログ講座を開いていたとしたら、ぜひ参加してみましょう!
結局は「毎日更新」~これに尽きます!
次に、技術的なことです。3人の師匠にも共通していることですが、何より、毎日更新する。これに尽きます。
先に挙げたブログの師匠のひとり、立花さんはこれを「質より、量より、更新頻度」という格言で提唱されています。ここで「質」とはブログの内容のことで、「量」とは文字数のこと。
とにかく、初心者ブロガーは「バズるような良い内容の記事を書いてやろう」とか「Google検索に好かれるよう、ある程度長文のブログを書こう」などと身構えず、まずはハードルを低くし、更新し続けなくては、世の中(サーチエンジン)に認知されないのです。
コンセプトがしっかり固まった!
昨年11月11日に、ブログのタイトルを変えました。「税金まにあ」→「kimutaxカフェ(キムカフェ)」→「キムラボ」とブログの名前を変えてきましたが、ここにきて、ブログのコンセプトとタイトルがしっくりかみ合いました。個人的には、これも大きかったと分析しています。
もともと、私の著書(「あなたの1日は27時間になる。」ダイヤモンド社)の出版後、ウェブ系コンサルタントの仕事をしている友人が、「木村さんのブログはセルフコントロールという軸で書くといいと思います。お金、時間、行動。全てセルフコントロールに関わることですよね」と、昨年初頭にアドバイスしてくださったのが大きなヒントになりました。それまでは「税理士なのに、時間術や仕事術のことを書いたら、雑多すぎるかなぁ……」という迷いがあったのですが、友人の言葉で、コンセプト面では半分くらい吹っ切れました。
そして、去年の11月11日「キムラボ〜時間・行動・お金のセルフコントロール術を、日々探求するバーチャルな研究所。」というブログタイトルが、突然、天から脳内に舞い降りてきて、「これしかない!」とすぐにブログタイトルを変更しました。
つまり、もしも皆さんのなかで、「これだっ!」というコンセプトやブログタイトルが思い浮かんだら、そこまでの路線やタイトルを変えてしまっても大丈夫。読者は離れたりしませんよ、ということです。
その他こまごま、こんなこともしています。こんなことに気をつけています。
その他小さなことですが、工夫していることを、いくつか挙げてみます。
⑴記事のタイトルの付け方
立花岳志さんから教わったことです。記事のタイトルは極力短くし、前のほうに重要なキーワードを持ってくるようにしています。
例えば、以前なら、「【国税庁】『平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」とタイトルをつけていたところ、今では「業種目別株価等、28年12
月分まで出ました!【国税庁】」このようにタイトルをつけています。
これはGoogle等で表示されたときに先頭から30文字くらいまでしか見えないことと、先頭に「国税庁」というレッドオーシャンな単語を持ってきては、検索エンジン対策上不利だからです。
⑵ブログランキングに参加
クリック数で競う人気投票型のブログランキングにも、あえて参加しています。これは1位になることが目的ではなく、上位に表示されれば、私のブログを知らなかった人にも認知してもらえるからです。「まだまだ無名ブロガー」と謙虚に認識し、知らない人の目に触れるよう参加しました。おかげで、ブログランキングサイトからの流入も一定数あります。
⑶ 「すごい人は気にしすぎない!」〜ブログとフィギュアスケートは似ている
つくづくブログとフィギュアスケートは似ていると感じます。例えば、税理士ブロガー界だけを取っても、圧倒的王者の羽生結弦や、それに続くパトリック・チャンや、ハビエル・フェルナンデス的ポジションの方がいます。
そのようななかでは私は、例えるならジェイソン・ブラウンかもしれません。しかし、ジェイソンが焦ってこれらの王者たちのように4回転(バズる記事)をキメようとしても、なかなか点数(PV数)は稼げません。ムリして自分の持ち味を殺すよりは、演技(ブログ)を観た自分のファンから 「ジェイソンの演技、やっぱり良いわぁ〜」と言ってもらえることを目指したいと思います。フィギュアスケートで一番心に残る演技をした選手の順位が、必ずしも上位ではないのと同じように。
まとめ
もしも私のブログが支持されかけているとしたら、いつも「どこかの誰かの役に立つ情報を」という点を心がけているからだと思います。旅行記も、ただ「食べた」「楽しかった」ではなく、そこに行こうとする人の役に立つように書いています。
また、「誰の役にでも立つものを」というよりは、「この記事は、ブログ初心者の人のために」「この記事は、会計事務所勤務で税務の最新情報をキャッチアップしたい人のために」「この記事は、仕事中についつい気が散って集中できない人のために」 と、記事ごとにターゲットを絞り、どっち付かずな記事にならないことを、心がけています。この視点だけは見失わず、今後も更新を続けていく所存です。
木村聡子(きむら・あきらこ)
税理士。ビジネス書作家。相続まるごとたすけ隊®代表。「逆算手帳」第0期認定講師。
バブル崩壊をきっかけに、1993年(27歳)資格取得を決意。フルタイムで働きながら、実務経験ゼロ、簿記知識ゼロからスタートし、短期間で税理士試験合格。1998年(31歳)税理士登録。2000年(34歳)木村税務会計事務所創設。ブロガー税理士の草分け的存在。資格取得時に身につけた仕事術・時間術を駆使し、セミナー講師や趣味の広島カープの応援で日本全国を駆け回る。実務誌ほか執筆実績多数。著書に「注文の多い料理店の消費税対応」(中央経済社)、「あなたの1日は27時間になる。」(ダイヤモンド社)、「税理士の仕事図鑑」(中央経済社)がある。「月刊経理ウーマン」(研修出版)、「納税通信」(エヌピー通信社)でコラム連載中。
2017年8月号 ブログ・アウトサイドストーリー133
会計事務所業務に必要なことは全てプールで教わった! さいたま新都心税理士法人 代表社員 税理士 松波竜太
ルービックキューブへの情熱と肉体的な限界
昨年こちらのコラムで、ルービックキューブの魅力と税理士業との関係性について書かせていただきました(2016年9月号)。
あれから約1年経ちましたが、あの頃のルービックキューブ熱はどこへやら、スッカリ冷めてしまいました。
今のところ6面を揃える最高タイムは35秒86。どうしてもここからタイムが縮まりません。
1面も揃えられない方からすれば、揃えられるだけで十分と思われるかもしれません。
しかし、セミナーの余興でやることを考えると、30秒以内で揃えられないと受講者から白い目で見られる可能性が高まります。
そればかりか、「お前の下手なルービックキューブを見に来たのではない。セミナー代を返せ」というクレームにつながる可能性もあります。
さて、ここで前回の内容をまとめて軽くおさらいしておきます。
①ルービックキューブを揃えるには定石があり、それに従えば必ず揃えることができる。
②定石を思い出しながらやっていたのではタイムは縮まらないので、反射的にできるようになるまで繰り返す。
③見てからどう動かすかを考えていたのではタイムは縮まらないので、キューブを動かしたあとを予想できるようになるまで繰り返す。
私はだいたいこの段階です(そして①〜③は会計事務所業務にも通ずるところがあるというのが前回の内容)。
しかし、その先があります。
④キューブを早く動かせるように練習する。
⑤(初めだけ見て)キューブを見なくても6面揃えられるようになるまで練習する。
ところが、気付いてしまったのです。「これは限界があるな」と。
なぜ、限界を感じたのでしょうか? 原因は小学校4年生の息子です。
私は③の段階、つまり先読みしながらキューブを動かせるところまで来ていたにもかかわらず、②の段階でキューブを見ながらやっている息子が1分30秒くらいで揃えてしまうのです。キューブを動かす速度が圧倒的に速いのです。それを見て分かったのです。
「これは肉体的な限界だな」と。
ということで、私より年上で、かつ、私よりルービックキューブが速いどなたかからコツを教えていただけるまで、忘れない程度に1日3回ずつルービックキューブをやることにしました。
水泳とルービックキューブの共通点
さて、前置きが長くなりましたが、最近のマイブームである水泳について書きたいと思います。
昨年の11月からプールに通い始めました。
小学生時代にスイミングスクールに通いつつ、水泳部に所属していたので、中学生までは学年では1〜2番の速さで、学校代表でした。
全国大会や県大会といった自慢できるような成績はありませんが、昔取った杵柄で、他のスポーツと比べて、この年齢で始める心理的障壁が低かったというのが始めたキッカケです。週に2〜3日、1回40分程度泳いでいます。
実は、水泳とルービックキューブを学ぶにあたって共通点がありました。それはユーチューブ動画です。動画のすごいところは次の3点です。
①情報量が圧倒的に大きい。
②自分の腑に落ち、納得、実践できそうな説明に出会える。
③お手本を繰り返し見ることで、頭の中にイメージを定着させることができる。
①の情報量と③のお手本についてです。前回のルービックキューブのときにも書きましたが、「折り紙で鶴を折る」は、折り紙の本を見ながら折ることは至難の業です。
完成形をイメージしつつ途中経過を理解するには動画が一番です。
そして②は、私がルービックキューブをセミナーなどで受講者に説明していて気付いたことです。
私はたまたま自分に合った説明に出会えたので、ルービックキューブで6面を揃えることができるようになりました。しかし、同じ動画を見ても、誰もが必ずしもルービックキューブを揃えることができるようになるわけではなかったのです。
社会に出てからも物理や経済学の勉強会に参加したりする機会があるのですが、「学生の頃、こういう説明に出会っていたら、もっと理解が早かったのに」と、感じることが度々あります。
もちろん、講師の力量もあるのでしょうけれども、「自分に合っているかどうか」は、これまで得てきた知識や考え方の癖などから、個人ごとにかなり違いがあるのではないかと感じます。
実際、小学生の頃は放課後の学校で泳ぎ、さらにその後スイミングスクールで週3回泳いでいました。しかし、このときのイメージは、「ただただ泳ぐ」というものでした。
私の感性の問題もあったかとは思いますが、コーチたちのアドバイスが自分の中にスッと入ってくる感じがなかったのです。
もしあのとき、ユーチューブがあったなら、もっと速く泳ぐことができるようになっていたはずです。
このことはお客様や職員への説明についても同じことがいえるでしょう。
正しいフォームで泳ぐには
さて、水泳は正しいフォームで泳ぐことが本当に大切です。
水中では空気中の約60倍の抵抗を受け、さらに抵抗は速度の2乗に比例しますから、力任せに泳いでも速くなりません。
ですから、筋力をつけることよりも、まずは正しいフォームで泳いで、自らが受ける抵抗(粘性抵抗、造波抵抗、過流抵抗)を減らすことがタイムを上げる近道です(そもそも小学生の頃、この知識をもっていれば違っていたかもしれません)。
始めた直後は正しいフォームがイメージできず、力任せに泳いでいたので、肩が痛くて仕方がありませんでした。しかし今では、ユーチューブで理想の泳ぎ方を何度も見て、頭の中にイメージをもつことができています。
しかし実は、人は目で見ていないと、自分で自分の体がどこにあるかを認識することすら容易でないのです。
タレントの武井壮さんが仰っていますが、例えば、まっすぐに立って正面を向き、気をつけの姿勢から腕を見ないで横から上げ、両腕を地面と水平になるところで止めてみてください。
これが思いの外難しいのです。自分の想像だけで確かめずにいると、自分の感覚と体は違う動きをする可能性が高いということです。
そこで、鏡の前に立って、自分のフォームを確認してみました。確認し、理想のフォームとの差異を修正する。これはかなり効果がありました。
しかし、実際に水中でどう泳いでいるかを自分で確認するのは至難の業です。
コーチにどう泳げばよいかを教えてもらうことは可能ですが、先ほど申し上げたように、コーチが必ずしも「自分が理解し、行動できる」言葉で教えてくれるとは限りません。
自分の泳ぎを客観的に見る
そこで有効と考えたのが「自分の動きを動画に撮ってみる」ということです。しかし、水泳は他の競技と比べて「動画に撮る」ということが難しい競技です。なぜならば、第一に水中を撮るのが難しい、第二にほとんどのプールで撮影が禁止されているからです。
そこで、横浜の「横浜市スポーツ医科学センター」のスイムミルという施設に行ってまいりました。ここでは、前から水が流れてくるボックスの中で泳ぎ、その様子を横、前、後ろからビデオ撮影してもらえます。さらに、撮影後にコーチからアドバイスをいただけるサービス付き。
自分が泳ぐ映像を見て、フォームのひどさに思わず吹き出しそうになりました。まず、自分では前傾姿勢を取りながら泳いでいるつもりでしたが、かなり足のほうに重心が寄っていました。水面に対して体が平行になっている状態が、前から投影した写像の面積を小さくしますので、水から受ける抵抗が最も小さくなります。逆に足のほうが沈むとそれだけ前からの水の抵抗を受けますので、スピードが落ちることになります。
さらに驚いたのが平泳ぎです。左右の足のかき方が全く違いました。右足に比べて左足が流れるように開いてしまっていました。まさに「百聞は一見に如かず」です。
さらに自分の泳ぎとトップアスリートの泳ぎの画像を並べ、違いを検討してみました。自分の動きとの違いが分かれば、意識を変えることが可能になります。
PDCAサイクルを回す
水泳も経営における「会計」と同じで、「タイム」という指標があるので、PDCAサイクルで回すことが可能です。
さらに水泳は他のスポーツと比べ、仮説・検証を行う際に、自分の体の動き以外に変わる条件が少ないことが特徴です。フォームを直せば確実に成果につながります。ちょっと体をひねってみようとか、ちょっとタイミングを遅らせてみようといった仮説を立てて実行し、タイムにどうつながるかを検証することが可能です。
結局、スポーツでも会計事務所経営でも、PDCAなくして進歩なしです。話はちょっとそれますが、PDCAのP(plan)とA(action)は何が違うのだろうと疑問だったのですが、Aを「adjust」と考えると分かりやすいという説明を受け、腑に落ちました。
最後に
今後も定期的に泳法撮影を続け、そしてコツコツと修正していきたいと思います。将来的には、マスターズの大会に出られるように頑張りたいと思います。
最後に、実はこれまで、誰に聞かれても「私は運動に興味がないので一切やりません」と、キッパリと言い切れるほど、スポーツから距離を置いてきました。理由は一言で言えば、私は運動オンチだから。
まず、子供の頃から目が悪かったので球技が苦手でした。球技には、はっきりいってコンプレックスを感じています。
さらに球技以外でも、ジョギングやウォーキングなどで噂に聞く、「ランナーズハイ」のような爽快感を一度も味わったことがないばかりか、かけた時間の割に消費カロリーが少ないので、ダイエット効果のコストパフォーマンスが悪いところも好きになれなかった理由です。
どうして皆さんがスポーツを好んでやるのか、全く理解できませんでした。「たぶん、つらい練習から解放されたときの解放感」を味わうためにやっているのだろうと、想像していました。
そんな私でしたが、なぜか水泳だけは何十年かぶりに泳いだ瞬間、「泳ぐのって気持ちいいな」と、感じたのです。これが半年以上続いている理由だと思います。
さて、原稿を書くのもそろそろ疲れたので、ちょっと泳いでこようと思います。
自分を例に最後にまとめますと、大人というものは、「理屈」の面で納得しないと、頭も体も動かないのだということを痛感しました。
ではまた。
松波竜太(まつなみ・りょうた)
さいたま新都心税理士法人代表社員。税理士。神奈川大学経済学部卒。大手OA機器商社、会計事務所勤務を経て、2003年に松波会計事務所を開業。2013年10月さいたま新都心税理士法人(関東信越税理士会浦和支部所属)設立。500社以上の中小企業に関与し、財務体質の改善や銀行対策などのコンサルティングを中心に、経済学・統計学を取り入れた会計・税務サービスを提供している。銀行借入支援サイト「銀行借入ドットコム」を運営。
著書に『借入は減らすな!』(あさ出版)がある。
2017年7月号 ブログ・アウトサイドストーリー132
やはりおかしいインターネット公売 大林税務会計事務所 代表 税理士 大林茂樹
インターネット公売は日本の恥
みなさんは、税金滞納者から差し押さえた商品や、地方自治体が使っていた備品などをヤフオクのシステムを利用して売買しているインターネット公売をご存じでしょうか。殺人事件の現場となった事故物件や覚せい剤使用で逮捕された有名人の愛車といったように、話のネタになるようなちょっと変わった物件があったりします。
宝探しのような楽しさがあるので、インターネット公売が始まってから今日に至るまで、毎回欠かさず閲覧しています。しかし問題点も多く、何度も拙者ブログにて遺憾の意を述べてきましたが、この場を借りて、これまで主張してきたことをお伝えしたいと思い、ペンを執ることにしました。
インターネット公売に違和感を覚えるきっかけとなったのは、千葉県野田市から出品されたトラのはく製です。2007年6月なので、かれこれ10年も前のことですが、直感的におかしいと感じました。おかしいと感じた理由は、大きく分けて2つあります。
⒈ 反社会的勢力との関係を排除できない
1点目は、トラのはく製を所持し、差し押さえをされた滞納者は、おそらく反社会的勢力に関係のある人物ではないかという点です。そもそも、一般市民がこのようなものを所持するケースは稀でしょう。そして、希少動物のはく製類は、銃や麻薬と並んで反社会的勢力の3大資金源であることを考えると、落札者も反社会的勢力に関係のある人物である可能性を否定できません。たしかに、滞納税額は徴収できるかもしれません。しかし、地域経済の健全な発展という自治体の使命はどうでしょうか。
違法な転売益が地下経済の不健全な発展を助長するのは火を見るより明らかですし、地下経済によって得られた資金が北朝鮮や国際的なテロ組織に流れているかもしれないということも忘れてはいけません。トラのはく製を飾ることによって、暴力団事務所としての箔が付き、反社会的行動を容易にする効果も見過ごすことができないはずです。
⒉ 国際世論からの批判を受け入れるべきである
2点目は、国際世論からの批判です。諸外国から、絶滅危惧種となっている希少動物のはく製類を流通させることを禁じるように再三勧告されているというのは、ご存じでしょうか(2016年10月2日日本経済新聞)。インターネット公売は、日本の恥であると直感的に感じました。
以上の2点が、トラのはく製をインターネットで公売するのはおかしいと考えた理由です。
インターネット公売に抗議する
トラのはく製を公売に出すことに疑問を抱いた拙者は、ブログでインターネット公売に抗議する旨を表明しました。すると、ブログの記事を読んでくださった動物愛護団体が、すぐに賛同の意を表明してくれましたので、動物愛護団体を窓口に、自治体に抗議しました。
自治体の回答は、大きく分けて2つの点を主張していました。
⒈ 滞納税額を是が非でも徴収しなければならない
1点目は、なりふり構わず徴収するという強い姿勢を見せなければ、滞納者になめられてしまうというものでした。
もし、公売を中止し、滞納税額を徴収できなかった場合には、あなた方が責任を取ってほしいというような態度も見せてきました。
たしかに、一理あるのは事実です。しかし、地域経済の健全な発展を使命とする自治体が、地下経済の不健全な発展に貢献するのは本末転倒ではないかとの指摘については、言及はありませんでした。
もっとも、2007年当時は、暴力団排除条例を施行している自治体がほとんどなかった時代です。
今だったら、もう少し違った答えが出てきたかもしれませんが、反社会的勢力との関係排除に取り組んでいただけなかった点について、誠に遺憾に思いました。
⒉ 違法取引を助長することにはならない
2点目は、日本の種の保存法(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」)では、ワシントン条約で規制される前に取得したことなどを示す登録票があれば売買できることになっており、売買自体も届け出制なので、違法に転売益を得ることなどできないというものでした。
問題のトラのはく製には、たしかに登録票がありました。しかし、反社会的勢力の手に渡ってしまったら、法令に従って売買されるでしょうか。実際に、法令を無視した違法取引が公然と行われ、種の保存法のザル法ぶりが明らかになりました(2016年1月11日日本経済新聞)。
違法取引が予見されるのであれば、諸悪の根源を元から断つのが公務員の使命なのではないでしょうか。しかし、2007年当時、違法売買の実態が必ずしも明らかではなかったことが悔やまれます。
以上の2点が自治体からの回答であり、抗議もむなしくトラのはく製は公売され、反社会的勢力の手に渡った可能性が高いと思われます。
もっとも恐れていたことが、現実となった瞬間でした。しかし、程なくして、インターネット公売に一石を投じる事件が起きました。
インターネット公売を中止に追い込む
2008年1月に、北海道札幌市がホッキョクグマの毛皮を出品しました。登録票があったので、合法に売買できるものです。
しかし、札幌市の反応は鈍く、このままでは野田市の二の舞になると無力感が漂ってきましたが、別の角度から攻めることを思いつきました。円山動物園の園長に、抗議のメールを入れたのです。
札幌市が運営する円山動物園は、ホッキョクグマの繁殖で世界的にも有名な動物園です。ホッキョクグマの毛皮公売は、動物園の運営方針と矛盾すると思いませんかと訴えました。
早速、円山動物園の園長が札幌市の責任者に連絡を取って、公売中止を決定してくれました。自治体の良識として、たとえ売買が合法であったとしても、許されるものではないというものでした。
インターネット公売に、国家公務員法(地方公務員にも準用)第99条にいうところの「職員は、その官職の信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」が適用された瞬間でした。
この事件については、公売中止になる前から、拙者のブログをマスコミ関係者の方に注目していただき、新聞、テレビ、ラジオからも取材を受け、電話出演をして不当性を訴え続けました。
ついに、世論も味方をしてくれたわけです。世論を味方につけることができたおかげで、ホッキョクグマの毛皮が公売に出された以降も、各自治体から希少動物のはく製類が次々と出品されましたが、ホッキョクグマの毛皮公売の事例を引き合いに出すと、すんなりと公売中止に応じてくれるようになり、出品自体も沈静化へと向かいました。
希少動物のはく製類を公売することは、国家公務員法にいう信用失墜行為にあたるという暗黙のルールが出来上がり、インターネット公売適正化への戦いは、終わったかに見えました。
あのころの悪夢がよみがえる
しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはよく言ったものです。ホッキョクグマの毛皮公売が中止になってから、2年を経過した2010年4月に、北海道釧路市からウミガメのはく製が出品されました。終わったかに見えたインターネット公売適正化への戦いが、再び火蓋を切ったのです。
釧路市に抗議し、ホッキョクグマの毛皮の実例も引き合いに出しましたが、全く取り合ってくれません。また、世論もどこか冷ややかなものを感じざるを得ませんでした。世論というのは、心強い反面、冷めるのも早いものです。拙者が抗議を申し入れても、全くといっていいほど賛同者が集まらず、四面楚歌状態となってしまいました。
2010年当時も反社会的勢力の関係排除が叫ばれる時代ではなく、釧路市によるウミガメのはく製は公売され、反社会的勢力の手に渡った可能性が高いと思われます。またしても、トラのはく製の公売を中止できなかった悪夢がよみがえりました。
再び追い風が吹き始める
再び無力感にさいなまれましたが、追い風も吹いてきました。
暴力団排除条例の制定
反社会的勢力との関係排除が叫ばれ、暴力団排除条例が制定される時代となりました。落札者が反社会的勢力である場合には、落札は無効とする自治体も出てきました。ただ、暴力団排除条例は、日本の反社会的勢力を排除することを主眼としています。中国マフィアなど、海外の反社会的勢力が一般人を装って落札する抜け道が残されている以上、絶対的なものではありません。とはいえ最低限の抑止力を発揮するものと思われます。
種の保存法改正の動き
諸外国から、種の保存法がいわゆるザル法であるとの批判を受け、種の保存法は3年ごとに見直すことになりました。いまだに、希少動物のはく製類公売を抑止するものではありませんが、今後の改正に期待したいところです。
最後の砦は世論
現状では、信用失墜行為であると指摘する以外に、希少動物のはく製類公売をやめさせることはできません。何をもって、公務員の信用失墜行為とするかを決めるのは、世論です。
かつてのように、希少動物のはく製類を公売することはふさわしくないという世論があれば、公務員の信用失墜行為にあたると堂々と主張することができます。逆に、世論が無関心であれば、信用失墜行為にあたらないと開き直り、落札者に反社会的勢力がいるのではないかと指摘しても、個人の趣味の問題として片づけるような対応をされてきました。残念ながら志を持って職務に精励する公務員は、それほど多くありません。
インターネット公売における問題点を指摘してまいりましたが、一人でも多くの方が、志を同じくし、インターネット公売の適正化の実現に向けて、ともに歩んでいただければ幸いです。
世論こそが最後の砦なのです。そして、一日でも早くインターネット公売が適正化され、希少動物のはく製類公売を非難するのも、これが最後であってほしいと切に願います。
公売中止を伝える新聞記事
(2008年1月16日読売新聞)
大林茂樹(おおばやし・しげき)
東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て、1999年7月開業。中小企業のよき相談相手として「企業家の意思決定に勇気を与え、社会を変え人を変えるために貢献します!」を経営理念とする。顧客サービスの一環として「早い・わかりやすい・頼みやすい」を掲げているが、白髪が増えると同時に、「早い」がかなり怪しくなっている。ブログを始めて、ついに10年超。その間、新聞・テ㆑ビ・ラジオの取材多数。ドラッカーをテーマにしたメルマガで読者数は日本最大級であるが、毎週 1本配信するノルマにひと苦労している。著書に「セ㆑ブな決算書、メタボな決算書」(九天社)、「税務事例コース・実践 証券業務コース」(共著)(経済法令研究会)など。ドラッカー学会会員。川越木鶏クラブ会員。
2017年6月号 ブログ・アウトサイドストーリー131
第21回税務会計系ブロガーサミットin 湘南 茅ヶ崎 冨岡弘文税理士事務所 代表税理士 冨岡弘文
やっぱ、友達っていいよね~!
ブロガーサミット2回目の幹事を終えての感想はこれに尽きます。
2017年3月25日に行われたブロガーサミットin湘南 茅ヶ崎は、とってもハッピーな感じで、大成功! 大阪、富山、東京と、日頃は会うことのない業界人が、神奈川は湘南の茅ヶ崎で、ゆる〜く、のんびり語らう一日となりました。
湘南サミットが決まるまで
ブロガーサミットでは、懇親会の終了までに次回の開催地と幹事を決めるのがここ数年の流れとなってきています(その場にいないからといって、安全とは限りませんが)。前回の池袋サミットで、神奈川県の私にご指名が来たわけです。
既に、横浜中華街サミットは実施済みで、どうしたものかと悩むところへ、「湘南が好き」という声が! 何だかうれしそうなおじさんたちのアタマには、ビーチを歩くビキニの姿が浮かんでいるんだろうな〜と気になりましたが、湘南サミットに決定しました。確定申告明けの3月末には、海岸には黒いウエットスーツのサーファーくらいしかいませんけどね。
実は、地元では「湘南」と名乗れるのはどこまでかの議論がありました。このたび、東京オリンピックで神奈川県の海が会場になることをきっかけに、神奈川県より「湘南」の範囲が発表され、これによると、東京湾沿い以外の神奈川県の海岸は、全部「湘南」なのだそうです。
鎌倉も湘南なら、春の大人の修学旅行と銘打った、大仏に会いに行く観光サミットを考えて、早速、会議室などの予約を完了しました。
ところが、「湘南といえばサーファー」という連想で一緒に幹事をお願いした徳留新人さんが、大阪から実家の厚木に帰省したタイミングで打ち合わせをしたところ、「イースター島で知り合った、ユニークな社長が茅ヶ崎にいるんだけど」と。
「1年かけて世界中を旅して回り、帰国後地元の茅ヶ崎で飲食店を多店舗展開していて、頼めば講師をしてくれると思う」という話が飛び出しました。冒頭の「イースター島で知り合った」という時点で「???!!!」って感じですよね〜!
それは面白い話が聞けそうだと、鎌倉から茅ヶ崎へ行き先変更。新人さんと、「湘南らしく、ゆる〜い感じ」の茅ヶ崎サミットにしようと意気投合しました。
プ㆑サミット、茅ヶ崎散歩
当日は、幸いにも爽やかなお天気に恵まれました。JR東海道線の茅ヶ崎駅から、湘南の海岸まではゆっくり歩いて20分くらいです。
午前の部、茅ヶ崎散歩は10時に改札集合。今回、高校生のお嬢さんと飛行機で参加された高岡(富山県)の坂野上さんは、さぞや早起きされたことでしょう。ほかにも前日から関東に入って宿泊した人、新幹線で駆け付けた人など、久しぶりの再会を喜びつつ、ひとしきりの挨拶が済んだら、いざ出発。
駅前のロータリーから海に向かって延びる通りの名前が「加山雄三通り」だったり、「サザンストリート」だったり。実際は普通の商店街なのですが、街路灯の名前を見るだけで何だかウキウキしてきます。
まず目指したのは、「開高健記念館」。作家の開高健は、1958年に芥川賞を受賞したのち、1965年にベトナム戦争に取材に赴き激戦を経験。アメリカ軍の作戦失敗の現場で、死と紙一重の戦争の恐怖を実際に体験した人です。1974年に茅ヶ崎東海岸に居を構え、亡くなるまで文筆活動にとどまらない、多方面での活躍を展開しました。私は、「オーパ!」など開高健の冒険的な活動や作品に学生時代に憧れていたので、幹事の特権で仲間を連れて初訪問を果たすことができたのは、とてもうれしいことでした。
開高健記念館に併設の「茅ヶ崎ゆかりの人物館」を出ると、ちょうどいい塩梅にお昼時。ネットで当たりをつけておいた、近所の蕎麦屋さんが何ともいい感じでした。お品書きには酒の肴が並んでいます。「蕎麦屋って、もともと飲み屋なんだよね〜」とか、「朝から空港で飲んできました〜」とか会話も弾んで、ビールとお酒が進み、狙い通りの「ゆる〜い感じ」が現実に。
その〝ゆるゆる〞が〝ヘロヘロ〞になる前に、いよいよ海岸へ向かいます。店の前から海に続く通りが、ちょうど烏帽子岩に続く道。木々の並び方のせいで烏帽子岩が近づくほど小さく、遠ざかるほど大きく見えるという構図の名所です。箱根駅伝のコースでもある国道を渡って海に出たら、まずは記念撮影! 春まだ浅い海岸は、ボードウォークを通るランナーのほかは、人影もまばらです。左手に江の島を眺め、サザンビーチを目指したあとは、サミット会場のお店へと、茅ヶ崎のお屋敷街の細い道を縫うように歩きました。
かつては、大きな家が並んでいたと思われる街並みに、税理士たちの会話の中身も「ここって広大地だったんだろうね〜」と、ついついオタクに。時々出くわす大邸宅に、さらにテンションも上がるのでした。
メインセミナー:波乗り社長と波乗り税理士の経営談義
さて、今回のセミナー会場は、茅ヶ崎駅から徒歩数分にある「アジアン中華 加納ダイニング」。メイン講師である、株式会社加納食堂の代表取締役、加納利春さんのお店です。
メインセミナーから参加の常連メンバーが駆け付けたり、地元から初参加のメンバーも集合して、ゆるゆるサミットは、まずは乾杯でスタートです(湘南散歩から参加の面々は、お蕎麦屋さんで「乾杯の練習」は十分にしていたのですが……)。
株式会社加納食堂は、茅ヶ崎駅周辺に飲食店グループを展開。それぞれのお店は異なる個性で、現在5店舗からさらに次のお店の準備が進んでいるようです。茅ヶ崎の地元に根付き、精力的な経営展開を果たしている加納社長ですが、会った印象は「湘南のカッコつけないロコサーファー」という感じ。ご自身の生い立ちから、飲食業界へ進んだきっかけ、さらにはとてもユニークな体験や経営理念などをたっぷり語っていただきました。
学生時代
ふとしたきっかけで、卓球を始めた利春少年は、中学、高校と卓球部で大活躍。全国ランキング3位まで上ったそうです。高校卒業後の進路を考えたとき、勉強熱心で有名大学に進学した兄たちと比べ、卓球漬けだった自分には大学進学の動機が薄いことに気づき、興味を持っていた料理人の道を選ぶことを決心しました。
飲食業界へ
民間の飲食店グループ、そして青森県三沢基地の自衛隊食堂や米兵が集うバーでの経験を積んだのち、今後の人生を見直す時間をつくる決心をしました。1年をかけて世界一周旅行に出たのです。世界を見て、世界中で働いて、帰国後に自分が育った地元、茅ヶ崎で加納食堂を始めました。
多店舗展開へ
現在も、茅ヶ崎駅近辺で新しいお店を出店計画中の加納社長ですが、そもそもチェーン店のような仕組みをつくりたかったわけではないそうです。最初のお店を始めて、「どこにも無理がない、問題がないな〜」という感覚があり、これだったら、ちょっと違ったテーマのお店をもうひとつ出してもいいんじゃない?
その繰り返しでそれぞれに個性が違うお店ができていったとのこと。その背景にある経営理念は「地元茅ヶ崎の街に求められているお店をつくること」。独りよがりではない、地域のお客様のニーズを嗅ぎとる感覚を大切にしてきた結果のようです。
税理士さんに望むこと
参加者から、「加納社長が税理士に望むことは?」との質問が。やはり、提案型の関与や、深いコミュニケーションを望むとのこと。ただし、顧問の税理士事務所のサービス内容を聞きますと、いやいや、かなりきちんとされている印象でした。
徳留新人税理士
ところで、加納社長にブロサミでお話ししていただくことを提案してくれたのは、今回の湘南サミット幹事を私と一緒に務めてくれた徳留新人税理士です。
新人税理士自身が、とにかくユニーク(ブロサミメンバーは大抵みんなユニークなのですが!)。ブロサミ当初から、たくさんの税理士仲間と丁々発止のやりとりで、自他共に、日本一税理士の友達が多い受験生を自認。オンとオフの切り替えの見事さは見習いたいと思います。
アジア各国を中心に、海外での波乗り旅は、宿も決めずに現地に飛び込み、そして現地の人と間違われるほど、溶け込んじゃう。多分、普段はスーツ姿で仕事をしているのでしょうが、仕事で会ったことがない私には、その姿は想像できません!
加納社長と出会ったのは、モアイ像で有名なチリ領イースター島。空港では「変な日本人がいる」と、最初は敬遠していたけれど、なんたって小さな街なので、街を歩くと出会ってしまい、サーフィンなどで一緒に行動するうちに、すっかり意気投合したそうです。
茅ヶ崎と大阪に離れて暮らすサーフィン仲間。時には加納さんのお店経営についての議論も交わされるとか。顧問契約ではなく、友人としての立場から、ざっくばらんに思ったことを言い合える関係は、社長さんの意思決定の参考になるのではと思いました。
お2人の姿から、私もインスピレーションをいただいた気がします。
懇親会
お待ちかねの懇親会は、お店を加納食堂グループの唐揚げのお店に移して(既に「はしご」か!)。気取りがなく、とってもリラックスでき、お腹いっぱい。最高でした!
加納社長は、今日初めて会ったとは思えない溶け込み具合でした。お店のスタッフとすごく目線が近くって、このあたりの関係の築き方がこの方の魅力なんだなと思いました。
この場で、次回のブロガーサミット幹事はブロサミの母、木村聡子さんに決まりました。そして木村さんといえば、最近はブログの女王から、最強のカープ女子として世に知られるようになっていますね!
次回のご当地は、広島東洋カープの本拠地、広島の予定です!
がっつり&ゆるゆる
最後に、2度目のブロサミ幹事を終えての感想を書きます。
セミナーにしろ、何かの大会にしろ、イベント担当者の心理としては「自分が関わる以上、何としてでも盛り上げたい」「とにかく大勢の人を集めたい」という心理状況になります。
私自身、横浜サミットを企画した際には、人集めに奔走し、大学生を含んだ参加者は40名を超えました。目に見える成果を目指して、セミナー形式か、パネルディスカッションか、はたまた参加型の取り組みかと、悩んだ末にメンバーのほか外部講師もお招きして、役立つお話をしていただきました。
会場も、全国から来る人に横浜らしさを味わってもらいたくて、山下公園周辺や、本牧の倉庫を改造した店など見て回った結果、テレビで見た(自分では行ったことがない)中華街の高級店に決定。セミナーと懇親会の部屋を打ち合わせたり、学生と社会人とで参加費に差をつけたりするなど、孤軍奮闘した思い出があります。
要するに、がっつり取り組み、「すごかったね〜」と評価してもらいたかったわけですね。
あの時はあれでよかった。いい経験になりました。何事も、最初のうちは「全力、最大、ベスト」が最善の価値観。
以前、ブロサミの父、大林さんが「本当は10人くらいがいいんだよね〜」なんていうのを聞いて、当時はあまりピンと来なかった記憶があります。
今回「ゆる〜い感じ」の味わいを目指すことで、さらによい経験となりました。
ブロガーサミットは、「かくあるべし」なんて決まりはありません。だけど、続けてきたことで、これまで参加したメンバーはユニークかつ強力です。これからも少しずつ仲間を増やしながら、楽しんでいきたいものですね。
冨岡弘文(とみおか・ひろふみ)
冨岡弘文税理士事務所 代表税理士。
昭和35年生まれ。天秤座のO型。
神奈川県立厚木高校サッカー部出身。
現在の趣味は、大学から始めたテニスと42歳で始めたトライアスロン。
トライアスロンはアイアンマンという長距離レース完走を毎年の目標にしてきたが、国内開催が消滅し、モチベーション低下。ゴールデンウイークは家族サービスに専念。
茅ヶ崎方面はBIKE練習のお膝元。Facebookでは、実際に握手した方が「友達」のポリシー。
2017年5月号 ブログ・アウトサイドストーリー130
一人事務所のペーパーレス事情 白川浩税理士事務所 白川 浩
新大阪の税理士白川です。早いもので初めて参加したブロガーサミットから7年が過ぎました。
当時は勤務税理士でしたが、2011年に独立開業し、これまで一人事務所を続けています。今回は、一人事務所の僕が普段行っているペーパーレスの実際についてお話ししてみたいと思います。
ScanSnapとドキュワークスの導入
開業と同時にScanSnap S1500とドキュワークスを購入し、「事務所のペーパーレス化」に取り組み始めました。
ScanSnapはPFU社製のドキュメントスキャナで、読み取った書類をPDFや画像などのデータに変換し、PC等で閲覧を行えるようにするものです。
ドキュワークス(DocuWorks)は富士ゼロックス社製のソフトウェアで︑電子化した書類の閲覧や編集を行えるようにするものです。ドキュワークスの文書ファイルはPDFと違い、基本的にはドキュワークス内でしか扱うことができません。
そのぶん、PDFに比べてとても扱いやすくなっています。
この2つを組み合わせることで、「事務所のペーパーレス化」が大きく進みました。
通常はScanSnapからドキュワークスに直接取り込むことはできませんが、それを可能にするソフトウェアが有料ながら2つあります。ひとつはSoftFarm社の「 直納☆ for DocuWorks」、もうひとつはScanSnapのPFU社製の「Scan to DocuWorks」です。前者は取り込み方法を細かく指定することができ、後者はScanSnapの会社ですから簡単に設定することができます。このどちらかがあれば、ScanSnapで取り込んだ書類をドキュワークスの文書ファイルとして取り込めるようになります。
紙はまずスキャン、印刷は最初に紙では出さない
ScanSnap→ドキュワークスの環境が整ったところで、届いた郵便物や紙の書類はすぐにスキャンすることができます。その際のファイル名は「ScanSnap Manager」という設定ソフトで日付と時間が自動的に入るようにしています。スキャン後に必要に応じて名前を付けます。保存の必要がない書類や紙はスキャン後すぐに捨てます。
ドキュワークスをインストールすると「DocuWorks Printer」という仮想プリンタが作られます。これを使ってPCでの印刷を行うと、紙に出さずにドキュワークスの文書ファイルを作成できます。
この「DocuWorks Printer」を「通常使うプリンター」とし、文書の印刷は紙で出さずにドキュワークスの文書ファイルに出す習慣を付けます。最初は違和感を感じますが、すぐに慣れると思います。ウェブ上のPDFも印刷するとドキュワークスのファイルとして登録できます。PCで印刷した物をScanSnapでスキャンするということはしません。
元帳や申告書などのチェックでも、最初はドキュワークスに出します。
官公庁に出す書類には独特のフォーマットのものがあり、これまでは印刷した紙に手で文字を書き込むしかありませんでした。
ドキュワークスには「アノテーション」という文字を入れたり、スタンプや付箋を追加する機能があるので、このような書類なら一度ドキュワークスに出して文字を入れれば、大半の書類をこれで作ることができます。できた文書をPDFに変換して顧問先にメール等で送信、印刷して押印・提出ということが可能になります。追加した文字は後で訂正もできるので、枚数が増えてもあまり手間になりません。
他にも文書を束ねたりバラしたり順序を変える、ということがマウスのドラッグアンドドロップで簡単にできるのも、ドキュワークスを使う理由のひとつです。
このように文書は「まずドキュワークスに出し、必要に応じて紙に出す」ことを徹底して行っています。
デュアルディスプレイやファイル管理
ペーパーレスを進めるにあたり︑どうしても必要な物があります。それは2つ以上の画面を使うデュアルディスプレイの環境です。僕は今は12インチのノートパソコンの画面と、27インチのディスプレイを使っています。
27インチのほうは1画面で使うこともあれば、2つのウインドウを左右に並べてノートと合わせて擬似3画面で使うこともあります。決算書や勘定科目明細書、申告書のチェックにはこれを使うことが多いです。PCのWindowsキーを押しながら左右のカーソルキーを押すたびにウインドウが右半分や左半分と動くので、この移動もマウスは使わずにショートカットキーを使うようにしています。極力マウスに手を動かさないほうが作業も早く進みます。
作った文書の管理ですが、基本的に顧問先ごとにフォルダを作り、出した後は速やかに移動させて「迷子」にならないようにします。文書名はScanSnapからの取り込みと同様に必要に応じて付けるようにします。
ポイントは、出力後の文書が集まる一番上のフォルダをすぐに空(カラ)にすることです。顧問先のフォルダの下はあまり細かくならないよう、探すのにも困らないように考えながらフォルダを作っています。多くなったら年ごとにまとめたり、何年か前のものは「旧フォルダ」に移してできるだけスッキリさせておきます。
フォルダ内では作成した日付が新しい順、古い順などの並べ替えができますので、探し方に応じて並べ替えます。
作った文書ファイルは基本的に捨てません。細かく整理するのもよいのですが、整理よりなくさないことが自分にとっては重要なのと、今のハードディスク・SSDなら容量不足になることも少ないので、無理にこれで容量をひねり出すこともないと思います。ちなみに今は512GBのSSDを半分ほど使っています。もちろん、ファイルのバックアップには万全を期しています。
紙はどうしているか
最初にも書いたとおり、スキャン後に不必要な紙はすぐに捨てます。また印刷した紙も使い終わったらすぐに捨ててしまいます。いわゆる元帳の裏紙ももったいないけどすぐに捨てます。今の環境ならコピー用紙を大量に使うわけではありませんし、紙を入れ替える手間や置き場所のことを考えると、捨てるのが一番という結論に至りました。
宛名の入っている封筒や使い終わりの元帳などは、もちろんそのまま捨てずにヤマト運輸の「機密文書リサイクルサービス」を使っています。これは紙を専用の箱に捨て、封印して引き渡せば未開封のまま溶解処理するというものです。封印前の箱は組み立てると隙間が少しできるので普段は机の横に置いておき、不要な紙を箱に入れ、いっぱいになったところで引き渡します。預かった書類もスキャンできるものはスキャンしコピー等なら捨てる、原本なら速やかに返却することを徹底しています。
ただし、完全なペーパーレスというのも不可能ですし、紙を全部否定するつもりもありません。
顧問先にお渡しする申告書等の控は全部紙で渡しています。とはいえ、現在、税務はほとんど電子申告を使っていますので、自分用の控を印刷して渡しているのにすぎません。特に税務署で日付印をもらってはいないので、万一なくされても印刷し直せば済みます。全部PDFファイルにしてCD-ROMと納付書だけ渡してもよいのですが、さすがの僕でもそれには抵抗があります(笑)
(控のPDFだけをメールで送るだけでOK、というお客さまも実際にはいます)。
このあたりは事情と相談して進められればよいかなと思います。
ペーパー㆑スの効果
ペーパーレスが進んだ結果として、「書類を探すのに席を立たなくて済む」ということがありました。開業以来のほとんどの書類がPCの中にあるので、座ったままで探すことができます。何げないことですが、これはかなり大きいと思います。一般的にビジネスマンがモノを探すのに使う時間が1年間で150時間といわれていますので、これをかなりの割合で減らしているはずです。
他にはメモ書きでも、まめにスキャンするようになりました。メモをPCやスマホで整理するのもよいのですが、その前段階として確定申告期のような繁忙期には今日やることや、顧客別の作業リストを無印良品のチェックリストに書き出したりすることがあります。年に何回もやらないような作業を書き留めておくと、次回にメモを見ながら取りかかれるので、思い出す時間のロスや作業漏れなどのミスも減らすことができます。時間があればPCでメモをもとにチェックシートを作ることもできます。こういうメモのスキャンにはScanSnapのiX100を使っています。
6年前の開業当初と比べてもいろいろなハードやソフトウェア︑インターネット上のサービスが出たり消えたりしています。ある程度形にはなったかなと思ってはいますが、まだ何かよい方法はないかと考えることもあったりします。
これが正解ということでもないと思っています。
長々と書き連ねてきましたが、これが少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後にブロサミのこと
この原稿を書いているのが3月22日です。何もなければ(笑)、数日後には第21回税務会計系ブロガーサミット㏌湘南に参加しているわけで、場所は茅ヶ崎という、何十年前(!)にサザンの歌で初めて知った場所に初めて足を踏み入れることになっています。行ったことのない場所に行けるのがブロサミの魅力のひとつでして、普段は会えない人も多いですから、とても楽しみにしています。私自身も多くの出会いがあり、普段は一人で仕事をしているので、より一層刺激になり、仕事の参考になることも多々あります。人付き合いが決して上手なほうではない私ですが、ここのとてもよい空気感を気に入っています。
次回の場所は程なく決まると思いますが、初参加の方、大歓迎ですので、迷っておられる方は是非お越しいただきたいと思います。
白川 浩(しらかわ・ひろし)
1966年7月7日宮城県生まれ、香川県出身。平成2年龍谷大学経営学部卒。大学在学中に日商簿記1級を取得し、税理士試験の受験を始める。1998年に税理士登録。
大阪市内の税理士法人に勤務後、2011年大阪市中央区本町にて白川浩税理士事務所を開業、2014年事務所を新大阪(大阪市淀川区)に移転し、現在に至る。2015年より求職者支援訓練校で非常勤講師を務める。他には初級システムアドミニストレータと英文会計検定BATIC(Accountant Level)。
Twitter:@hiro0707tax
2017年4月号 ブログ・アウトサイドストーリー129
常識を疑ってみよう こちら中小企業総務部 不破茂夫
みなさん、こんにちは。こちら中小企業総務部の岐阜の不破茂夫です。実務経営ニュースの読者のみなさまは会計事務所の関係者が多いと思いますが、確定申告業務おつかれさまでした。消費税の申告がまだ一部残っているかもしれませんが、取りあえず一段落されたことかと思います。
当たり前、もうない
今年の元日の日本経済新聞のトップ記事を見て少しビックリしました。見出しに「当たり前、もうない」と書いてありました。今まであったものがITの進歩により当たり前でなくなっていくというのです。当たり前の常識はどんどん変わっていきます。
例えば、自動車がガソリン車から電気自動車に代わっていくと、消えていくと思われる大手自動車部品メーカーがあります。今は売上も多いのですが、このままではこの状態はいつまでも続きません。その会社は既に、自社の得意としているある技術を生かして異業種に転換しようとしています。
また、モノとインターネットがつながるIoTによって、新しいサービスがどんどん生まれています。例えば、路線バスとインターネットが結びついて、バスの運行状況がスマホなどで確認できるサービスなどがあります。
消えていった仕事
さて、最近は人工知能(以後、AIと書きます)がどんどん進化しています。テレビや新聞などのニュースでは、「AIが囲碁のプロ棋士に勝利した」という記事のようにAIの話題が連日取り上げられています。
そのなかで気になるのは、「AIに取って代わられる仕事・職業」という種類の記事です。一昨年あたりから何度も見かけました。それらの記事にはさまざまな仕事が取り上げられていて、その仕事がAIに取って代わられるようなことが書かれていますが、そこに携わる人はどんな思いで記事を見ているのでしょうか。
私は会社で総務の仕事をしていますが、事務処理が多く、見る人が見ると事務員という感じです。消えていく仕事として一般事務員や経理事務員が多く登場していますので、私も近い将来AIに取って代わられているかもしれません(笑)。また、税理士という職業もAIに取って代わられる職業によく出てきます。取って代わられるといっても、今までにも技術の進歩、新製品の登場、時代の流れなどで消えたり、縮小していった仕事や業界はいくつもありました。
例えば、ATM(現金自動預払機)の登場・普及によって、金融機関の窓口業務をする人(主に女性)が減りました。なんせATMは指定した金額をすぐに払い出してくれますし、店舗が終わったあともいやな顔もせず残業や休日出勤をしてくれます(笑)。それに伴って窓口業務の人だけでなく、金融機関が採用人数を減らした影響で、商業高校に進学する学生が減り、商業科の先生も減りました(昔は商業高校を卒業して金融機関に勤める人が多かったのです)。
また、自動販売機の登場・普及によって、食料小売店が減りました。さらに、インターネット通販の普及・拡大によりリアル店舗に行かなくてもモノが買えるようになったので、小規模の各種小売店は減ったように思います。書店などがまさに当てはまります。
通信業界にいたってはものすごい変化です。かつては電電公社の黒電話の時代が長らく続いていました。家族で電話を共有するという考え方から、電話を1人1台持つという考え方に変わったため、テレホンカード利用型公衆電話の登場をきっかけに、ポケットベル、携帯電話(ガラケー)、スマートホンと変わってきました。そのたびに、古い製品の仕事に関わっていた人は減っていきました。
そして、読者のみなさんに関係する経理事務員も減ったのではないでしょうか。昔は手書きで現金出納帳、預金出納帳、得意先元帳を記入し、電卓やそろばんで集計していました。また、取引ごとに振替伝票に仕訳を記入して、その伝票を集計して試算表をつくっていました。その後、徐々にコンピュータ会計が普及してきて、手書きのものが減り、事務処理時間が短縮され、集計の正確性も向上してきました。その影響で経理事務員の数はかなり減りました。
一方で増えている仕事も
それでは、いろいろな職種で既存の仕事がAIに取って代わられたら、その分失業率が増えて働けない人が増えるのでしょうか。先ほど登場した、消えたり・縮小していった仕事や業界がある一方で、改革して生き残っている仕事や業界もあります。
金融機関は、保険や投資信託等を販売したり、資産運用や相続対策のコンサルティングをするなど、銀行および子会社でサービスを拡大して規模を拡大することで雇用を増やしています。
小規模小売店は減っている一方でコンビニエンスストアが台頭し、今では当たり前の24時間営業、新聞や書籍の販売、金融機関しかできなかった公共料金の取り扱いやATMの設置などさまざまなことに取り組み、サービスを向上させてきました。業界自体も拡大し、多くの雇用を生み出しました。
運送業の人員も増えています。かつては、企業向けの運送がほとんどでした。しかし、郵便局のほぼ独占だった宅配サービスに一般の運送会社が参入し増えてきたため、インターネット通販などの拡大もあって、トラック運転手や出荷作業員が増えました。
製造業は手作りでやっていた生産作業を自動機やロボットに代えたため、手作業をしていた作業員が減りました。一方で、人がやる作業内容も力仕事や単純作業が減って、自動機のオペレートや保全管理などの業務が多くなったため、それに携わる人が増えました。そして、メーカー自体も生産量が増えたため、販売、流通、管理等の人員が増え、会社の規模も大きくなり、大企業が増えてきて、雇用も拡大しました。
結局、今までは新しい技術の登場で消滅・縮小した仕事がある一方で、誕生・増大した仕事もあり、失業率が増大しているわけではありません。我々は常に新しいものを生み出して、働ける環境をつくっているのです。
だから常識を疑ってみよう
とはいえ、ある程度AIが普及してくると、AIを使って仕事をする人とAIに使われて仕事をする人に分かれてきて、貧富の格差が今以上に広がるのではないかと思います。今後は「スキルアップすること」と「常識を疑うこと」が大事になるのではと思います。AIに取って代わられないよう「当たり前、もうない」と常識を疑って行動してみましょう!
不破 茂(ふわ・しげお)
岐阜県岐阜市生まれ。現在、岐阜県内の従業員120名の中小企業の総務部に勤務。総務の仕事だけでなく、経理・労務・人事の仕事も担当。現在、行政書士の資格取得のため勉強中。資格取得により実務能力のさらなる強化を目指す。税務会計系ブロガーサミットには第1回から参加。
2017年3月号 ブログ・アウトサイドストーリー128
ご当地訪問も魅力! 税務会計ブロガーサミット 冨岡弘文税理士事務所 代表税理士 冨岡弘文
第21回税務会計ブロガーサミット幹事の冨岡です。次回ブロガーサミットは、湘南サミット!
日時は2017年3月25日土曜日、午後3時頃から、茅ヶ崎駅近くのお店で開催します。今回も、たくさんの出会いがあればいいなと期待しています。詳しくは「ブロガーサミット」で検索を!
ネットの繫がりと、リアルな繫がり
ところで、ネットのすごいところは、地球上の何処にいようとほぼリアルタイムで繫がれることですね。私には、ブロガーサミットを通じて知り合った税理士仲間が日本全国にいるのですが、フェイスブックで繫がっていると距離を全く感じません。
だけどそれは、実際に会ってリアルな実感を得たうえでの距離感。いくら写真情報の掲載がお手軽になったといっても、名刺交換したり、握手したり、実際に会ってお話をした感覚までは伝わりません。私自身は、フェイスブックの「友達」も実際に会ったことを重視しています。もちろん、SNSの使い勝手は人それぞれだと思います。
「ブロガーサミット」の名付け親でブロサミの母でもある木村聡子さんによりますと、税務会計系ブロガーサミットは、2006年3月、ブログで出会った同業者が「ちょいと確定申告の打ち上げでもやりましょうか」とウェブ上で連絡を取り合い集まったのが始まりとか。洒落っ気で「ブロガーサミット」と仰々しいネーミングにしたそうです。日頃、情報発信をしている方々ですから、柔らか頭で、行動力があります。宴会のついでに情報交換、ちょっとした企画を思いついて……と、瞬く間にとても有意義な集まりになったのだと思います。
私自身の初参加は、2008年9月の第6回神戸サミットです。この時受けた衝撃は、本稿109号(2015年7月号)に「熱狂の神戸・運命の2008年」として寄稿しました。それまで抱いていた税理士のイメージを超えた、まさにカルチャーショック!
そしてその後に続くたくさんの出会いが、今の私の事務所経営の根幹となっていることは間違いありません。私と同様なことを感じているブロサミ仲間は本当に多く、過去のブログ・アウトサイドストーリーでもこのあたりの実感が語られています。
さりとて、知り合いが全くいない中に一人飛び込むのは勇気が要るもの。この記事を読んで興味を持たれた方は、私や、常連のブロガー税理士さんにメールなどで連絡をくださるのも良いと思います。
勇気を出して参加した神戸サミット
かつての私も、神戸サミットでの初参加に際してはかなりの勇気が必要でした。この時のテーマは、本の出版やセミナー開催の経験談のパネルディスカッション。当時の私には、本を書くとか、セミナーを開くなんて別世界のお話です。すごいなーと感心するばかり。
そして当時の私は40代後半。参加者の中では、オヤジ度、高かったと思います。こちらは年齢を気にしなくても、他の方から気を使われたり、煙たがられたりするかな、しかも新横浜から新幹線に乗って行くなんて。
でもね、そんな気苦労は全く無意味でした。年齢や仕事の様子なんて話題にもならない。そもそも呼び合うのも「さん」付けが基本。とてもフラットです。そのユルイけど、洗練された感じが知的で、大人な印象を持ちました。
その時思い切って参加したことが、私のその後の税理士人生を大きく変えたわけなんです。実際、遠い国のことと思っていた自分も、ここ数年は、相続対策や経営者向けなど、年間を通じて多くのセミナー講師を務めていますから、われながらビックリです。
私の人生を変えた2つの体験
私がブログを始めたのは2006年8月です。この年の5月には、やはり自分の運命を変えた出来事がありました。それは、20代のころから憧れていた、トライアスロンのアイアンマン・ジャパンに初挑戦して、当時、制限時間だった15時間の7分前、14時間53 分でギリギリ完走できたことです。
税理士を志した20代。受験と修業でいつも何だかやりきれない気持ちが続く30代。2002年にようやく税理士登録ができた時には、新たな人生が始まった気分でした。
2004年に短い距離のレースをいくつか経験し、憧れの大会へ思い切っての挑戦でしたが、「アイアンマン」は甘くはなかった。最後の5キロは制限時間との戦いに、「ここで諦めたら、生まれ変われない!」と泣きながら走った記憶は忘れられません。今にしてみると、要するに「準備不足」なわけですが、わが人生では稀有な成功体験となりました。
その後の税理士としての活動をするうえで、「所詮は人間同士、人に上下があるわけではない」という人間哲学や、「泳いで走って、体力だったら負けないぜ」といった、税理士的には根拠がないけど、根っこの部分の自信がつきました。余計な遠慮や、虚飾を無意味と思える価値観を与えてくれたと思います。さらには、トライアスロンは自分自身が自然との関わりで行うレースなので、税理士として「自立」していることへの拘りも高まったように思います。
アイアンマン完走によって、目の前の人がお金持ちだろうが、お偉いさんだろうが、東大卒の肩書きがあろうが、大して気にならなくなりました。社会的地位が高くなったわけでも、税法知識が豊富になったわけでも、ましてや収入が増えたわけでもありませんけど、「オヤジだから」とか、「未熟だから」とか、そういうことを気にしなくなりました。実際のところ、そういう気後れには何の意味もないのですね!
トライアスロンのお話は既に寄稿済みですが、ランニングや水泳といったスポーツを日常生活に取り込むことは絶対お勧め! 税理士業というか、経営者には仕事の面でも有効なので、機会をいただけたらいつでも伝道をしたいものと思います。
仕事にも役立つブロガーサミット
ブロガーサミットは、あくまでもゆる〜いイベントなので、必ずしも成果を狙ったものではありません。それでも、個性的な人には、個性的な知り合いがいて、とても有益な話が聞けたり、能力開発やMAS業務に使えそうな技の披露があったりと、仕事に役立つ情報も満載。税理士業界の将来について語り合ったり、事務所経営のコツを披露し合ったり……。
特徴的なのは、大阪での「ワールドカフェ ミーティング」、名古屋での「レゴを使って効率化について学ぶ研修」。どれも面白く、勉強になりました。マインドマップについて学んだのもブロサミがきっかけ。事務所の会議に導入して、かなりの成果を得ることができました。番外編では、スプーン曲げの伝授や、前回の池袋でのルービックキューブの実践指導などなど。
日本全国ブロサミの旅
ブロガーサミットの魅力のひとつは、滅多に行かないところに行けること。私のような地元密着型の事務所では、滅多なことでは新幹線にも乗りません。全国から同業者が集まり、貴重な情報交換をする。これって経費でOKですね?
全国にいるメンバーがそれぞれの地元で開催するブロガーサミット参加は、その開催地を訪れる機会でもあります。懇親会での思い出や、併せて行った観光にも思い出はたくさんあります。
私の思い出のブロサミ観光№1は、2015年3月の富山サミット。まだ新幹線の開通前で、ぐるりとのんびり列車の旅も楽しく、幹事の坂野上さんが車を運転してくれて、合掌造りなど観光できたのが最高でした。懇親会で食べたホタルイカの美味いしかったこと!
ビックリ体験No.1は、近藤さんがセッティングしてくれた京都サミット。とってもきれいな舞妓さんを呼んでくださり、もう、ドッキドキでした!
札幌や福岡で開催した時には、私はまだ参加していなかったのが悔しいです。今後は、「元祖カープ女子、木村聡子と行く広島球場応援サミット」「道後温泉、坊ちゃんサミット」などの企画が噂されております!
湘南サミット開催へ
ブロガーサミットの幹事は、サミット終了後の懇親会あたりで決まります。幹事さんが次回の幹事を指名するケースが多いのです。
今回は、池袋サミットの懇親会、下馬評では大阪から参加の白川さんかと思われましたが、「東京と大阪が多いのではないか?」「もっと地方に行きたい!」との声が上がり、神奈川の冨岡がクローズアップされたわけです。実は、私は既に横浜サミットを開催したことがあり、ちょっと困りました。
「相模原でいいじゃん」との声もありました。そういえば北陸新幹線開通を記念したブロサミ開催もありましたが、相模原にリニアモーターカーの駅ができるのは30年も先の話……。そこで飛び出したのが「湘南に行きたい!」という声です。神奈川→湘南。まあ、湘南ってちょっと素敵なイメージなんでしょうね?「湘南」を名乗れるのはどこまでかという地元民の議論もありますが、神奈川県はオリンピックを見据えて「相模湾に面している一帯全部を湘南とする」と見解を出したみたいです。
当初私は、鎌倉を候補地に考えました。なんたって、誰でも知ってる、修学旅行で来たこともあるかもしれない観光地。江ノ電に乗って、大仏とお寺、最後は鶴岡八幡宮。黄色い旗を持って案内すればいいかなと。でも、「湘南」のイメージから懇親会参加メンバー全員が思いつく、ブロサミ常連メンバーを忘れるわけにはいきません。一昨年、日本一税理士の友達が多い税理士試験受験生を見事卒業した徳留新人さんです。一年中真っ黒で、東南アジアの国で現地人と間違われる、放浪のサーファー。「湘南→サーフィン→アラト」。湘南サミット2人目の幹事に、アラトはマストの存在だとその場にいた皆の意見が一致したわけです。ちなみに、徳留さんは、前回(2017年2月号)エッセーを寄せています。
アラトさんは、厚木出身、座間高校サッカー部、現在サーファー。私は厚木高校サッカー部、現在トライアスリート。なんとなく人種が似ていて話が早い。大阪在住のアラトさんが、実家の厚木に帰省した際、お互いの真ん中の海老名で会って打ち合わせをしました。するとアラトさん、「イースター島で知り合った人が、茅ヶ崎で飲食店を数店舗やっていて、話が面白いんだけど」。私のアタマは、モアイ像の顔でいっぱいになり……、そりゃ面白そう♪
そういうわけで、ブロサミらしく話は決まり、2017年3月の湘南サミットは茅ヶ崎で開催することになりました。そのあとは、横浜にサッカーをしに行くというアラトさんのお時間まで、いきものがかり、サッカー、サーフィン、トライアスロン、そして共通の友人の噂話に花が咲きました。
さて、茅ヶ崎ですが。茅ヶ崎といえば、加山雄三? 雄三通りで海に向かうか? やっぱりサザン?サザンストリートを抜けて、烏帽子岩を見に行くか? ユーミンだって懐かしい、「サーフボードなおしに〝ゴッデス〞まで行くと言った〜♬」。歌に出てくるJR相模線はユーミンの実家の八王子から、終点は茅ヶ崎。神奈川県では珍しい単線で、乗り降りの際には自分でボタンを押してドアを開けます。海沿いの国道は、ロードレーサー乗りのメッカ。トライアスロンショップもご案内できますよ。開高健記念館や、有名人所縁の邸宅を見るのも楽しいかも。
湘南といえば、ヨット、サーフィン、江の島、海水浴……。多くの人のイメージはこんな感じ? 海遊びには少々早いのが残念だけど、きれいですよ、相模湾。熱心なサザンオールスターズのファンならともかく、こんなきっかけがないと茅ヶ崎なんて来ることないかも? 確定申告明けには、ブロガーサミットで、Let's胸騒ぎ‼
冨岡 弘文(とみおか・ひろふみ)
冨岡弘文税理士事務所 代表税理士。
昭和35年生まれ。天秤座のO型。神奈川県立厚木高校サッカー部出身。青山学院大学硬式庭球同好会JUNEを経て、現在は、トライアスロンチームJOY所属。チームのモットーは「一度だけの人生、楽しんだもの勝ち」。
個人事務所ながら、事務所出身の有資格者6名体制で地域密着のサービスを提供。近年は相続対策や、経営者向けなどのセミナーを年間50本以上実施。日々の仕事の励みとして、スイム3.8km、バイク180km、ラン42.2kmの、IRONMAN Japantriathlon完走を目指したトレーニングを日課にしてきたが、昨年来、北海道の開催地事情による中止状態が続き、モチベーションが上がらない日々を過ごす。密かに海外レース進出を画策中?
フェイスブックでは、実際に握手した方が「友達」のポリシー。
2017年2月号 ブログ・アウトサイドストーリー127
ブロサミメンバーへのメッセージ ウエキ税理士法人 德留新人
平成28年12月16日に平成28年度の税理士試験の合格発表が官報でありました。そこに、普段から仲良くさせていただいている税理士事務所の職員さんの名前を発見。自分が合格した時と同様、心の底からうれしく思いました。この方は、毎月1回税理士が集まる勉強会に、事務所の税理士先生と一緒に毎回参加されていました。日頃、事務所の職員という立場ですと、有資格者が集まる場に行く機会は少ないものです。また、資格を有していないことから、そうした場に参加することにはなかなか積極的になれないものです。ただ、その方は大事な税理士試験の直前にあった勉強会にも参加されていました。そのような姿が、自分の受験時代と重なったのです。
私にとって、ブロガーサミットは、そうした会のひとつでした。税務会計系のブロガーが集まると謳われた第1回のオフ会が平成18年3月に東京で開催されましたが、参加者は有資格者が圧倒的に多かったです。そのなかで、多くの先生方が当時受験中だった私にとても親切に接してくださったことで、強く税理士になると誓うとともに、この業界に希望を持ったものです。
苦節12年の受験時代のうち、9年間もブロガーサミットと関わっていたのですから、本当に多くの先生方から影響を受けました。特にブロガーサミットを大林先生と一緒に立ち上げた木村先生が仰っていた「税理士を目指した時点でみんなライバル」という言葉が印象的でした。
税理士事務所の職員はまだ見習いで、少し格下の扱いをされることが業界のなかでは多かったのですが、ブロガーサミットで出会った先生方はこうした考え方がなく、対等に扱ってくださったことを本当に感謝しています。
そこで今回はせっかくの機会ですので、影響を受けた皆様にメッセージを残してみることにしました(笑)。
大林先生
まずは、このブロガーサミットを立ち上げていただきありがとうございました。大林先生と木村先生が立ち上げてくれたこの会のおかげで、本当にたくさんの先生方と素敵なご縁をいただきました。
ちなみに、受験時代に理論暗記に苦戦していた私に、「彼女の声で理論を吹き込んだテープを聞いたらスグに覚えられるよ」とのアドバイスは全く効果がありませんでした(笑)。
木村聡子先生
「受験に関しては全く心配していない。あなたはいつか税理士になる人だから」と木村先生から言われたことがあります。実は、受験に関して全く同じ言葉をかけてくれたのがうちの所長とさいあきさんです。実は、この3人が同じことを言ってくれたのが受験時代の自分にとっては何よりの支えになっていました。ありがとうございます。
吉澤先生
ブロガーサミットで先生に出会えてよかったと思った人は、私以外にもたくさんいると思います。それだけ、多くの人に影響を与え、かつ、尊敬を集めている先生と出会えて本当によかったです。来るもの拒まずで、ご自身の経験を惜しみなく教えてくださる先生の姿勢は、理想の姿であると同時にカッコイイと思います。
これからも、何かあれば、真っ先に相談をしようと思っていますので、よろしくお願いします(笑)。
中川先生
福岡ブロサミの時は自宅に泊めていただき、大阪に来られた時はとことん飲み明かし、必ず税理士になれと先生に応援してもらっているだけで百人力でした。また、合格時にもお花をいただきありがとうございました。直接会っていろいろと話したいこと盛り沢山です。
日野上先生
大阪の大御所先生とわざわざ東京ではじめましてのご挨拶をさせていただくとは思いませんでした。また、第2回のブロガーサミットの幹事としても大変お世話になりました。先生の事務所の新入所員募集に応募して落選したことは今ではよい思い出です(笑)。
柳澤先生
ひとつ年上なのに、こんなにすごい先生がいるのかと思ったのが率直な印象です。試験前にはいつも気にかけていただきありがとうございました。先生のその想いに応えようとしたから合格できたのではないかと本気で思っています。
一柳先生
ご無沙汰しています。元気にされていますか(笑)。「頼まれ事は試され事」、先生から教えていただいたこの言葉、今とても活きています。ありがとうございます。
小松先生
自分が想像していた税理士像を大きく超えた方でした。税理士業界でこんなに面白い人がいるんだと思ったのが印象的でした(あっ、いい意味でです)。また、機会があればぜひお会いしたいです。
杉田先生
オフ会のブロガーサミットで気さくに話しかけてくださった先生の存在があったので、受験中の身にもかかわらずうまく会に溶け込めたと思っています。面倒くさい5296さんのお相手もありがとうございました。
石原先生
ブロサミ後に、絶対にもう一度会う人だと思ったのですが、それっきりですね(汗)。ぜひ、一度ゴルフでお相手お願いします!
千春
生きてますか? それなら、いいです。
福本先生
第1回の関西ブロサミメンバーは、なぜか印象深いです。ママをしながら試験に合格した体験談を聞いて、自分自身が非常に甘い考えをしていたと思い直すキッカケになりました。その後、お会いできていませんが、MGなどでご活躍のようでうれしいです。
皆本先生
官報に知った人の名前が載ったのを見たのは先生がはじめてです。同じクラスで勉強していましたので非常によい刺激をいただきました。あっ、この記事を書き終えたら、ご依頼の記事を仕上げますので……(汗)。
不破さん
私以上のブロサミ常連者にメッセージを送るのもおこがましいですが……(汗)。初期のメンバーがどんどんいなくなるなかで、不破さんの存在はありがたいです。第2回の時のブロサミ会場を下見されたブログ記事を読んだ時は幹事一同驚きでした(汗)。
明石先生
ブロサミで知り合った先生方の中でもとても話しやすかったのが先生でした。日野上先生の事務所見学会の前に、受験についていろいろと相談をさせていただいて気持ちがすっきりしたのを今でも覚えていますし、あれで、いろいろと救われました。ありがとうございます。
飛鳥さん
同じ事務所職員として共感するところがたくさんありました。自分が独立するときは、飛鳥さんみたいな人が来てくれたらなぁと思っています。
秋山さん
そういえば、ブロサミがキッカケなんですね。秋山さんは、同級生ですが何歩も先を進んでいる同業の先輩です。これからもよろしくお願いします‼ってか、あんまり引き離さないでくださいね……(汗)。
IKEさん
受験中も受験後も密かなライバルです(笑)。公私共にお互い切磋琢磨できる関係でいられればと思います。
おかっち
っしゃぁあああああ!!!!!
屋宮先生
とある先生がブロサミに参加して一番よかったことは先生に出会えたことだと言っていました(笑)。僕も同じです。合格時には、大阪に来てくれてありがとうございました。南の島のたったひとりの会計士が映画化されたら主役やりますので‼
加藤厚先生
元祖ブロガー税理士は、先生だと思っています。画像満載の先生のブログをよく読んでいました。先日は、久しぶりにお会いできてうれしかったです。
かやさん
永遠のライバルです、はい。
日下先生
税理士になる前からも税理士になってからもいろいろな場所で先生の存在を知る機会があり、非常に勉強熱心な先生だなと感じています。今後もご一緒する場があると思いますので、よろしくお願いします。
ユタさん
ユタさんをブロサミに誘って本当によかったと思っています。ユタさんからは、いろいろなご縁をいただいて感謝しています。引き続き、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
熊谷先生
先生とも出会いはブロサミなんですね。今は、別の勉強会でお会いしていますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
こぐまさん
お互い、税理士になれてよかったですね(笑)。これからも引き続き切磋琢磨していきましょう‼
近藤先生
先生ともブロサミがキッカケなんですね。先生をキッカケに本当にいろいろなご縁をいただいています。ありがとうございます。これからも税理士らしくない税理士代表として期待しています(笑)。
5296さん
次回、湘南ブロサミです。必ず来るように。
西浦さん
大阪ブロサミではお世話になりました。その後、いろいろな展開があったようで、またお話を聞いてみたいです。大阪に来た時にはぜひお
声がけを。
伊藤温志先生
事務所の急成長の秘訣をぜひまた教えてください。最近は、フェイスブックでの情報ばかりですが、超刺激受けています!
鎌田先生
先生には、早く会いに行かなければと思っています。あの日、東京駅で会っていただけて、いろいろと救われました。息子さんに負けないように頑張ります‼
坂野上先生
レガシーから新商品案内が届いた時に、先生が講師担当だったので事務所で鼻高々でした。ブロサミつながりの先生が活躍していると、事務所のなかでなぜか自分の株が上がる不思議があります(笑)。
佐藤亜津子先生
いろいろと男前ですよね(笑)。でも、仕事も子育てもプライベートも充実している先生は、自分の目標でもあります。また、大阪に遊びに来てください。
高井先生
歳の近い先生の活躍には刺激を受けています。先生の存在は、早く受験を終わらせなきゃと強く思うキッカケになりました。また、機会があればゆっくりお話をしてみたいです。
山本先生
税理士試験後の夏休みに旅していたカンボジアで先生の本を読んだことは忘れない思い出です。出口の見えない受験生活でしたが、先生の本に出会えて希望を持てました。その後、旅先で会った若者に先生の本をあげたのですが、彼は今どうしているのでしょうか?(笑)
小長光先生
じぇーりっさんのブログのファンです。この業界に対して愛があるからこその意見がとても共感を覚えるものばかりで、勉強になることが多々ありました。先生の考え方をブログを通して知ることができたことで、私自身は試験に対するモチベーションが非常に上がりました。ありがとうございます。
前島先生
いまだに北海道で知っている税理士といえば先生だけです。先生が幹事をするとのことで札幌まで行ったのもよい思い出です。その後の活躍も大変刺激になっています。
木村建太先生
以前にもお伝えしましたが、先生のブロガーサミット・リレーエッセイがなければ苦しい受験生活を乗り越えられなかったかもしれません。あのメッセージは、経験者でなければ出てこないもので、自分自身の胸に突き刺さりました。本当にありがとうございます。そして、これからもいろいろと助言をいただける関係でいられればと思います。
大末先生
自分が独立した際には、先生の事務所運営に関してのノウハウ(というか、苦労話?)をぜひ聞いてみたいです。近い年齢の先輩方の活躍ぶりには非常に刺激を受けます。今後ともよろしくお願いいたします。
前田先生
京都ブロサミでの大活躍を見てこの先生はすごい人だと思いました。その後、税理士法人 ほはばの大躍進を見聞きして大変刺激を受けています。なかなか難しいようですが、また機会がありましたらぜひご一緒させていただければ
と思います。
相浦先生
ブロサミの2次会で、先生にいろいろと偉そうなことを言ってしまったことを今でも忘れられません……。それにもかかわらず、先生はニコニコとこちらの話を聞いてくださって、あっ、あの笑顔が大事なんだと思った次第です(汗)。
ウエスタン安藤先生
先生との出会いは、井寄さんの出版記念だったかと。その時のカウボーイ姿の先生を見た衝撃は忘れられません(笑)。
ただ、そんな先生がご自身の受験時代の苦労話を少ししてくださり、とても親近感が湧いたというか、この先生が苦労した試験なら自分が苦労しているのも当たり前だと思えたことが、この試験を乗り越えるうえで大きなものとなりました。ありがとうございました。
樋口さん
苦労して得た資格だからキチンと役割を果たさないとと仰っていた言葉が心に残っています。ウエスタン安藤先生と二人三脚でお客様に最高のサービスをしている姿を見て、いつも刺激を受けています。公私共々、いつも勉強させていただきありがとうございます。
森大志先生
先生とお会いした時が受験生として一番苦しんでいた時だと思います。その時に、あの子は大丈夫だと言ってくださったことを他の先生を通じて伺いました。何よりも支えになったひと言でした。ありがとうございます。
竹内先生
Jackieさんのほうが馴染みますね( 笑)。Jackieさんともブロサミがキッカケですね。もっと、いろいろなところでお会いしたいのですが、なかなか機会がなく。また、お会いした時にはよろしくお願いします。
冨岡先生
まさか、地元厚木高校出身の税理士先生と知り合えるとは。最悪、自分は先生の事務所に雇ってもらおうと思っておりますので(笑)。
板垣さん
いつか、サッカーネタでゆっくりお話ししたいですね。独立した際は、一番初めに取材をお願いします(笑)。
井ノ上先生
井ノ上先生ともブロサミがキッカケですね。今では、税理士ブログの最高峰の地位を完全に確保されているようです。自分が受験時代に教わっていた先生が独立して、井ノ上先生のブログを参考に、独り税理士の道を順調に歩んでいるようです!
益田先生
ハイ◯グ税理士さん。先生の税法に対する真摯な心構えには、とっても影響を受けました。税理士たるもの法律家たれ。試験に受かっただけでは、まだスタートライン。どんな税理士になるのかを考える、よい機会になりました。ありがとうございます。
高橋先生
先生は大変おっとりされているのに(失礼?汗)、とても大きな組織を運営されていたことを後で知りました。先生のような懐の深い税理士になるのがひとつの目標です。まだまだ足元にも及びませんが……。
中野先生
いつも気にかけてくれてありがとうございます。先生ともゆっくりと話してみたいです。以前は、ツイッターで生存確認していましたが、最近はめっきりですね。また、機会があればぜひお会いしてみたいです。
松波先生
ツイッター上では饒舌な松波先生。先生のつぶやきのファンのひとりです(笑)。電車の中で地味に笑ってしまう先生のツイートは癖になります。もちろん、リアルで先生と会うのはもっと楽しいです、はい。
石田先生
ブロサミで会った先生の中で一番ユニークな方だと思っています。もちろん、いい意味で。自分の中で、税理士というイメージが先生に会って崩壊しました(笑)。でも、いつ会っても本当に楽しく、いろいろなことを教えていただき感謝しています。最近は、グローバルでご活躍のようですが、たまには相手をしてください。
古田先生
横浜のブロサミでお会いしただけだと思うのですが、とても印象に残っています。ご自身も苦労して税理士試験を合格された体験や、お父様の事務所を継いだ経験をお話しいただき、お話を聞くなかで勉強になる部分が多かったです。ありがとうございます。プライベートでも幸せなご報告をお聞きできてうれしかったです。
野田先生
受験中に、受験生相手に授業をされている先生のお話を聞けていろいろと勉強になりました。自分もこんなに美人な方が先生だったらもっと勉強に熱が入ったのにと思ったり……(汗)。
白川先生
先生ともキッカケはブロサミですね。ブロサミメンバーはITに詳しい先生が多いですが、その中でも先生は抜群に詳しかったです。何より何でも聞きやすい方で、とても助かりました。iPhoneアプリの購入金額は衝撃的でしたけどね(笑)。
伊藤智宣先生
弥生フォーラムで知り合いの先生が登壇したことになぜか優越感を覚えました(笑)。北陸で知り合いの税理士先生はまだまだ少ないので、今後ともいろいろと情報交換をしていただければと思います。
正鬼先生
先生ともキッカケはブロサミですが、その後のご活躍に刺激を受けているひとりです。税理士をしていると海外に目を向けるのは難しいですが、先生のチャレンジには感服です。また、いろいろと教えてください。
菊水先生
大阪ブロサミの時には参加できずにすみません。他の機会でももっとお会いできるかと思っていますが、なかなかですね。また、お近くですので機会があればいろいろとよろしくお願いします。
友松先生
税理士になって、近畿税理士会の研修で先生が講師をしていてズッコケました。ブロサミでは、すごい先生と知り合いになれるものだなぁと思った次第でございます(笑)。
藤原先生
税制改正大綱を読むミッションで、去年の大綱を読んで、「改正はありません」発言は最近のヒットです。
今後ともよろしくお願いします(笑)。
加藤暁光先生
前回のブロサミには参加できず、すみません。西武ライオンズはよいメンバーがそろっていると思うのですが……(汗)。
中井先生
先生ともブロサミつながりですね。あの大きな事故からよくカムバックされました。それだけで、尊敬します。これからも先生は山で、私は海で、公私共々お互い頑張っていきましょう。
○
こうして文字に起こしてみると、本当にいろいろな方にブロガーサミットを通じて影響を受けてきたのだと感じます。
前回の寄稿(2015年5月号)でも書きましたが、受けた恩は返すものではなく次世代に送るものだと思っています。いろいろな先生方を通じて受けたこの経験をまた次につなげていくことが、自分自身の税理士として与えられた使命だと感じています。
今回は、個別にメッセージとして挙げさせていただきましたが、漏れがあった先生がいらっしゃいましたらご了承ください。そして、その際は3月の湘南サミットに文句を言いにお越しください。また、今回メッセージを送らせていただいた先生方も久しぶりにアイツに会ってやろうと思った方がいらっしゃいましたら、3月25日の湘南サミットにぜひお越しください。久しぶりの再会ができれば幸いです。
德留新人(とくどめ・あらと)
昭和53年神奈川県厚木市生まれ。
県立座間高校、阪南大学経済学部卒業。
平成14年6月、植木保雄税理士事務所入所。
平成27年12月、日本で一番税理士の友達が多い受験生を卒業。
2017年1月号 ブログ・アウトサイドストーリー126
人の興味を引く話し方を楽しく追究してみました!! 坂野上満税理士事務所 坂野上 満
富山県高岡市の税理士、坂野上 満です。このエッセイには3回目の投稿となります。何でも、ブロガーサミットがこれから様変わりしていく可能性があるとのことで、このエッセイも今までとは違ったテイストでお届けすることはできないかという話になり、私のところに依頼が舞い込んできたものです。
今回はブログの話題から離れて、人の興味を引く話し方について触れてみたいと思います。
といいますのも、平成16年(私が34歳のとき)に初めてセミナー講師の仕事をして以来、いろいろなところで講師の仕事をさせていただく機会に恵まれました。その際、いろいろな失敗があり、いろいろな方々に迷惑をお掛けしながら今日まで続けております。
セミナー講師が一番イヤなこと
セミナー講師の一番イヤなことって何だと思いますか?
居眠りをされる、突拍子もない質問が来る、自分より精通していることが明らかな人の視線を浴びる……などいろいろあると思いますが、私は何よりこれだと思います。それは……、セミナー会場が「完全アウェー」の場になってしまうことです。誰も自分の講義内容に興味を示してくれないと、私の目が宙を泳ぎだし、ついにはどこをやっているかすら危ないという状態になったことが何度かあります。こんなときは少しでも早く時間が経ってほしい、ここから一刻も早く消えてしまいたい……などとネガティブな感情が湧き出てくるものです。額に汗をかきながら懸命にしゃべろうとする講師と、義務
感丸出しで聞いた振りをしているだけの受講者がしらーっとした雰囲気の中で時空を共にしていることを考えただけでそのときの心境が分かっていただけると思います。
さすがに今ではそのようなことはなく、うまくできるようになりましたが、今回はこのあたりにも役立つ「人の興味を引く話し方」について投稿してみることにしました。
話は全然違う方向になるのですが、私は若いときから人並みプラスαくらいに酒を飲んでいまして、ご多分に漏れず、夜の街が好きでした。いや、今でも好きです。そんな私に今から約10年前、36歳くらいのときにある転機が訪れたのです。それはどんなことだったかというと……。夜のおネエさんたち(スナックやキャバのことで、ちゃんと服を着ている人たちのことですよ!(笑))と話が合わなくなってきたというか、話をきちんとしてもらえなくなったんですよ。今思えば、仕事が立て込んできたときとかに、神妙な顔で難しいことや専門的なことばかり語ろうとしてたんでしょうね。これが特定の店だけではなく、全体的な傾向だということがはっきりしてきたときに、「これは何とかしないと私のナイトタウン探索隊ライフが全然面白くないものになってしまう! この先の人生、これでいいのか⁇ 」と真剣に悩みました。
そこで、夜のおネエさんたちをもう一度自分の周りに引き寄せてやるとばかりに、そのための何かを身に付けようと思ったわけです。このときほど人間の心理や魅力的な話し方について寝食忘れて研究したことってなかったですね。男の欲求って、女性にモテたいとか、注目されたいとか、話をしたいなどということから発生するといわれますが、本当にそうなんだな、とこのときあらためて思いました。
聞く人を惹きつけるテクニックと6つのネタ
幸い、私はこのときには駆け出しのセミナー講師をやっていましたから、師匠からセミナー講師の手ほどきを受けていました。口を酸っぱくして言われたのは、「人は話すことは得意だけど聞くのは苦手だから、その苦手なことを受講者に強いなければならないセミナー講師は常に聞き手の気持ちになって苦痛を感じさせないようにしなければならない」ということでした。そうか、いくら酔っぱらいの愚痴やたわいもない話を聞くのが仕事の彼女たちとはいえ、聞かされて面白くないものにはやはり事務的な態度をとるようになるんだな、ということに気付いたのです。このことを元に3カ月ほどで6つのネタを考え付きました。
これらのネタを当時学んでいたセミナー講師のテクニックとあわせて地元の夜のおネエさんたちに試してみました。するとどうでしょう。つい数カ月前に来たときには酒を作って適当に私の話に事務的なうなずきだけで対応していた彼女らが私の話に乗ってくるではありませんか! ヘルプの声がかかっても「もう少し坂野上さんの話を聞いていたい!」という子が続出。ある店では、そのときにいた女の子と客全員を巻き込んで大盛り上がり。これは地元だからウケただけなのか、それともよその地域でもウケるのかを知りたいと思い、上京時に池袋のお店で試してみました。やはり反応は地元と同じ。ついにここ数カ月の苦労(?)が報われたと思った瞬間でした。
さて、私はこの3カ月で何を編み出して何を彼女らの前でやったのでしょうか?
答えは簡単。セミナー講師の手ほどきで教えられたとおり、聞き手が興味を持ちそうなことをネタとして準備し、聞き手と会話のキャッチボールを楽しんでいたのです。相手はママや女の子なので、何に興味を持つかな、と考えたのが最初でした。それは決して私が行き詰まっている仕事の話でもなければ、愚痴でもないのです。こういったものを吐き出すのは確かに一時的にはストレス解消に役立つのかもしれませんが、その後が続かないですよね。聞かされている女の子の表情もだんだんとどこか冷たくなっていくのを感じます。こうなると、「この店のコは俺の話を聞いてくれない」だとか、「全然面白くない店だ」とかのたまってしまう羽目になるのでしょう。
今回のテーマである「人の興味を引く話し方を楽しく追究してみました‼ 」も、ここまでで9割方お話は済んでいるのですが、ここで終わってしまうと面白くないと仰る方のために、私が当時考えた6つのネタをご披露させていただきたいと思います。
その6つのネタとは……、1.一万円札ネタ、2.ワインネタ、3.カレンダーネタ、4.英語ネタ、5.スプーンネタ、6.愛し合う男女の夜の営みネタ、デス(笑)。
1.一万円札ネタ
一万円札ネタは特攻隊長役ですね。みんな大好き一万円札。ボクもワタシもこれに興味がない人っていないんじゃないでしょうか。これに関するウンチクというか、クイズなんですが、これがみんな真剣に考えるから見てるほうも結構楽しめます。答えが分かった人は自分に耳打ちで答えを言ってもらうこととし、正解したら、まだ解けない人の一生懸命に考える姿を見て楽しむ仲間になってもらいます。まさに、クイズの司会者になったような気分を味わうことのできる盛り上げネタですね。このとき、耳打ちしてもらって正解を出した人に「正解者に拍手!」などと言って褒めてあげることがとても大事です。ここでおネエさんやママの気持ちをつかんでしまえばあとはとてもラクです。
2.ワインネタ
2番バッターはワインネタ。その日の調子によってはカレンダーネタと打順を入れ替えることもあります(笑)。そのワインネタもクイズ。夜のお店にはワインを置いてあるところもあるので、「自分たちの売っているものをどれだけ知っているのか」をおじさんが優しくクイズで教えてあげるんですよ。20代前半の子はほとんどワインなんて知らないので(かくいう私もそんなに詳しいわけじゃないですが)、少し教えてあげると「今度、友達に話したい!」なんて言われますよ。これも正解したら褒めてあげることが大事なのはもちろん、「『全然知らない』というのと『ちょっと知っている』というのは全然違うから、ボクと話をする数十分前の○○ちゃんと今の○○ちゃんは全然違う人になったっての分かる?」などと、彼女のちょっとした成長や進歩を認識してもらうことを忘れずに。
3.カ㆑ンダーネタ
カレンダーネタは3部構成になっています(笑)。カレンダーに関する3つの疑問を彼女らに投げかるのです。そして、「ボク、これ小学1年生のときから不思議に思ってたんだけど、教えて」と優しく迫るんですね。もちろん、相手には答えられませんが。これを一緒になって順番通りに一つひとつ解明していく。この解明していく過程においてやっちゃいけないのは、「大学の授業のように事実を教えること」です。これはワインネタにも共通するのですが。では、どうやるかというと、会話のキャッチボールをする。つまり、「これ、不思議に思わない?」「どうやってこれ、決めたんだろうね?」「ボ
クだったらこうすると思うんだけど、こうなってないってことは何か理由があるんだろうね」などなど、話を双方向のものとするんですね。このカレンダーネタは、普段は全く気にならないんだけど、よく考えてみるとすごく不思議に思う……という、ちょっとした知的好奇心をくすぐってやるためのネタです。大学生のバイトの子なんかにはすごくウケがいいですよ。
4.英語ネタ
英語ネタも大学生の女の子にはウケがいいですね。というか、若い女の子たちの多くは心のどこかに「英語を外人さんみたいにペラペラとしゃべれたらな……」という願望を持っていると思います。そこで、「LとRの発音の練習をする前にやるべき簡単にできる英語の発音3つのコツ」の話をするんです。とかく英語は難しいですが、難しいながらも簡単にできて、教科書に出ているような話ではなくて、しかもやらなければならないのはたったの3つだけ、ということをやれば、英語に自信がなくてもちょっとやってみようかな、くらいに思えることを教えてあげるんです。これをひとつずつ教えて例を出してあげるといきなりスナックに英会話教室ばりの英語が響き渡るようになるかも? これも上手に発音できたら思い切り褒めてあげましょう。
5.スプーンネタ
スプーンネタ。これ、鉄板。これを見て「すごい」と言わなかった人はいないくらい。あ、今までに一人だけいました。「ウチのスプーンをこんな形にしてどうしてくれる」とばかりに困った顔で事の推移を見つめていたあるスナックのママ。あのときはご迷惑をお掛けしました。ここまででご想像していただいたとおり、スプーンを曲げるんです。らせん状に。ぐにゅっとU字形に曲げるのは腕に覚えがある人は力を入れればすぐにできるんですが、私の場合、くるくるとらせん状に曲げるので「えぇーっ!」となるんですよ。これは女性でもできますが、やはり見た目にショッキングなのでしょうか、すごく驚いてもらえます。このスプーン曲げについてはまたいつかブロガーサミットでやってみたいと思います。
6.愛し合う男女の夜の営みネタ
これについては、わざわざここに書かなくても皆さんご想像のとおりの内容ですよ。男が悪いのか、女が悪いのかってやつです。私は男なので男が悪いっていう結論とその理由について会話のキャッチボールをして楽しむんですね。
おじさんの悪い趣味です。
6.はおまけとして、1.から5.に共通しているのは、「私にもできた」「私にも分かった」「数十分前とは違う私がいる」を実感してもらうことなんですよ。これらを与えたときに彼女らは私の席の周りに戻ってきてくれました。メデタシ、メデタシ。
今回はこれでおしまいですが、1.から5.の具体的内容については誌面の都合上書くことができなかったので、またいつかここで書かせていただきたいと思います。乞うご期待‼
坂野上 満(さかのうえ・みつる)
昭和45年1月富山県高岡市生まれ。
平成4年3月明治大学商学部商学科卒業。
平成4年4月富山県小矢部市のプラスチック製造会社に就職。
平成7年10月退職し、税理士試験勉強に専念。
平成9年9月富山県射水市の税理士事務所に入所。
平成10年12月税理士試験本合格。
平成11年11月税理士登録。
平成14年4月富山県高岡市に税理士事務所を開業。
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